初めての冬

 人の形を模したロボットが、機械的というか機械そのものの声で言った。


「アノ……ハカセ……」


 博士と呼ばれた白衣を着た女は、特にロボットに目をやるでもなく書き物をしながら返事をした。


「うん? どうしたの?」


「ワタシノ、目カラ、流レ落チル、コノ液体ノ、正体ハ、イッタイ、ナンナノ、デスカ……?」


 ロボットは自分の身に起きた事象について、充分な知識を持っていなかったのだ。


「ああ、それはね」


 博士は振り返ると、ロボットの頭を撫でながら答えた。


「結露よ」

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