男子と再会

 うう〜。遅刻っ、遅刻っ!


 まったくもう、さっきの失礼男子のせいで転校初日から遅刻じゃないっ!

 あいつめ、もし今度あったらただじゃおかないんだから!


 私は乱暴に教室のドアをあけた。


「遅刻してすみません! 私、今日から転校し……ああっ!」


 私は生徒の中に見覚えのあるやつを見つけた。


「あっ、あんたは! さっき私にぶつかってきた失礼男子っ!」


「よお」


 さらに私は見つけた。


「ああっ! 横のあんたは電車で隣にいた失礼男子っ!」


「おはよう」


「ああーっ! 後ろには昨日コンビニにいた失礼男子店員っ!」


「どうも」


「ええーっ!? 待って待ってー! さらにその周囲には先週、川沿いの土手ですれ違った失礼男子柔道部っ!」


『押忍っ!』


「わー、嘘でしょーっ!? 担任の先生は2年前に家族旅行で行った函館のホテルにいた失礼ドアボーイ!?」


「転職しました」


「いったいどうなってるのよ〜!」


 戸惑っていると、私以外の生徒は声を揃えて言った。


「ようこそ!!! 私立失礼男子学園へ!!!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る