靴とばし

 少年は右足を大きく振り上げた。


「あ〜した天気にな〜れ!」


 そのとき、奇怪な音とともに空間に裂け目が現れ、底知れぬ闇が口をあけた。


 闇が少年の飛ばした靴を吸い込むと、裂け目はやがて閉じていき、あたりにはいつもと変わらぬ静寂が訪れた。


 少年はつぶやいた。


「あしたは、くもりかぁ」

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