第3話 17歳の最後の日(PLuck At)

今、23:50を時計の針は指している。

俺は、明日誕生日を迎える…憲法上はもう18なんだろうけど、選挙権や結婚出来る年齢になるのだ。

何かを失ったような心持ちだ。

きっと子供という立場が遠のいていくからだろう。立場は責任のある大人だというけど、本当に責任感のある大人は極小数しかいない。政治家も、先生も皆…弱いんだ。


「俺ももう少しで、高校生から大人になるのか。」珈琲を飲み、溜息をつく。

何だか知らないけど、涙が出てきた…

俺は男だぞ!泣いてはいけないのに。


ティーンエイジャーの五番目が終わる…華の17って言うけど…「これじゃ!桜じゃないか。こんなに早く過ぎ去るなんて。」思わず感情が荒ぶって声に出てしまった。


高校を卒業して回想する。俺はあの時、一人の少女に告白された。半年前の事だった。でも、それが初めての経験だったから分からなかった。


最初は、友情の好きかと思ったら、愛情の好きだと聞いて混乱した。今まで面倒な人間社会から身を遠ざけてきた俺には、強すぎた。

「ねぇ。タケル君。付き合ってくれませんか?」

「ごめん。もう少し考えさせてくれないか?」


それっきり、返事をすることもなく卒業してしまった。

「あぁ。もう駄目か。手遅れだな。」

居なくなって気付いた。俺は、あの人に恋をしていたんだと。


後悔で頭が狂いそうだから、別なことを考える。小学生の頃は、サッカー選手になりたいと思っていた。サッカー選手は皆、イケメンで憧れの存在だった。

中学生の時は、政治に不満があったので政治家を志した。

高校に入ってから考えが変わり、世界に飛び出そうとした。英語を必死に勉強した。日本なんて興味が無かった。日増しに、周りからも浮くようになった。アイツとは話が合わないと。

聖莉愛まりあ、やっぱり俺はお前のことが好きだ。」

また、思い出してしまった。高校時代とあいつを切り離せないなんてやっぱり俺は、あいつが好きだったんだ。


雲に霞んだ月を眺めながら、17歳の終わりを告げる曲を弾いた。誰の為でもなく、自分に踏ん切りをつける為に。


知らぬ間に輝きを失って、既存に逆らう姿勢を見せなくなってもたまには昔に戻って進みたい。

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