TROUBLRETiON

焚斗

プロローグ 雨の日

雨の日、陽は雲に隠れてしまっている。 ゆっくりと目の前の扉が開いていく。

歩き疲れた自分の足はどうやら明日には筋肉痛になって響きそうだ。

だが扉が開き始めて何分経っただろうか?

その扉はいつになっても開かない。

スローモーションに扉が動いているのかと思うぐらいだ。


「まだか?」


何回も管理人に尋ねるが、答えはまだ、と返えされるばかりだ。

せっかちなのはわかる、だがこのゆっくりさはおかしい。

機械の扉に心の中で愚痴をつけていると、誰かにとんとんと肩を叩かれた気がした。


「もう開いたよ。」


後ろを振り向くと今度は管理人の方から言われた。

どうやら上手く俺をからかっていたのかもしれない。


開いたひらところに疲れてる足一歩ずつ歩き出す。

この先、なにが待ち受けているのだろうか?

そんな期待や不安を抱えながら、開いた場所へと歩いていった。

歩いて行くと突然目の前から光が見えてきていた。

光の先へと進んでいく。

辿り着いた瞬間、辺り一面雨の日だったからにもかかわらずその場所の天気は晴れていた。

右の看板を見るとそこには目的の場所だということが記されていた。


「着いたか、ここが東京。」


東京、この場所に来た理由は他でもない。

自らのポケットから写真を取り出し、顔を確認する。


「さて…「彼女」がいる場所は…」


目を閉じ、目的地を思い出す。

確かあそこだった…か?

曖昧な記憶。

そうなのは確かだが今は思い出すことよりも別のことに気をとられていてしまっていたのだ。

周辺に違和感を覚えた、それが原因だ。

見えたものは不確かな風景だった。

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