クリビア〜小さなお菓子のストーリー〜
折戸みおこ
プロローグ
世界には数多のお菓子がある。そしてそれらの全てが、なんらかのストーリーの元に生み出されてきたのだ。
例えばそう、カステラ。あのお菓子は言うなれば“洋風和菓子”である。江戸時代、ポルトガルのパォンデローという伝統菓子が日本にやって来た後、変化に変化を重ねて出来上がったのがカステラだといわれている。よって、日本人からすれば舶来の品に見えかねないカステラは、ポルトガル人からすれば未知の食品ということになる。しかしパォンデローとカステラは確かに兄弟なのだ。ポルトガル生まれのお菓子と日本生まれのお菓子が兄弟だなんて、面白いと思わないかい?
こんな具合で、お菓子にはそれぞれにストーリーが織り込まれている。しかしそんなレシピの由来だけがお菓子の持つストーリーではない。あなただって一つはあるはずだ、お菓子とのストーリーが。家族と一緒に作ったあのお菓子。初めて好きな人のために作ったあのお菓子。誕生日に友達がくれたあのお菓子。頑張ったご褒美のあのお菓子。以前想い人がプレゼントしてくれたあのお菓子。などなど…。お菓子は己の由来譚だけでなく、これまで口にしてきた沢山の人々のささやかな日々をも一緒にボウルに入れられ、撹拌され、型に入れられて焼き上げられる。
これから語られる話は全て、そういったお菓子を取り巻くストーリーである。
もしかしたら、あなたとお菓子のストーリーもこの中に…
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