ババアの城

@makoti

第1話

それはひと月ほど前のことであった。

私は高校2年生、クラブに入らないいわゆる部活ニートだった。それゆえ放課後なんて本当に暇だった。終わりのベルがなるなり知る知らぬクラスメイト、皆が各々のクラブやらに行く。それをじいっと眺めてから下校するのが私だった。下校中はそれなりに楽しい。鳥の鳴き声を聞き、栗の木の匂いを嗅ぎ自然に触れる時間である。その途中の公園にお気に入りのベンチがある。恥ずかしいほどベッタベッタに黄色に塗ったベンチだ。本来ならば私はこんな目立つところに座りたくなどないのだけれどこのベンチは特別。小学生のころ友達と深夜に塗りに来たそのベンチなのだ。そこで週刊雑誌の発売日はそれを読むようにしている。

そしてその日は発売日だったのだ。完全に私は読む気でいたのだ。読むハートになっていたのだ。そのベンチで週刊雑誌を。しかしそれは叶わなかった。なんとそこには中学生とみたアベックがいたのだ。自分は怒っていたのだ。そのアベックに対して。しかしそれは今ではとても恥じるべき行為だ。私はそのまま雑誌を投げ捨て家へと歩いた。そう。自分は童貞で。そして。バカだったのだ。

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