第11話 友を守る力!『深海の賢者 マーリン』

第11話 《アバン》

 少年勇者は、一人で戦っていた。

 戦場の中心、風が吹く。彼の赤いマントが、ひらり、と揺れる。銀色の剣は、鈍く光っていた。

「……何も、変わらないさ」

 ぼそり、と呟く少年勇者は乾いた笑みを浮かべた。剣を鞘に納めて、前に進む。

「何も変わらない。おれは、戦わないといけないだけだ」

 それは、自分に言い聞かせるように。事実を、ただ単純に言っていた。

 それなのに――少年勇者の声は、震えていた。

「おれは、戦わないといけない」

 少年の瞳は、震える、鈍い光を灯していた。

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