第4話 星は山ほどあるけれど、手が届くとは限らないし、その星の輝きは過去のものなんだからさっさと通知機能をつけてくれよ!!!

激闘の末、なんとか勝利をつかんだ俺は、寮の自室のベッドに倒れこみ、天井を見上げていた。


いやはや、まさか冗談でもなんともなく、命に危険が及ぶ異能バトルだとは思ってもみなかった。


今回はギリギリ相手の裏をついて勝てたからいいものの、これが続くと考えると結構憂鬱だった。


第一俺は、この世界に転生してきたのだ。


じゃあもしこの世界で死んでしまったら……?


考えるだけで悪寒がする。


日本で生きていた頃のことを思い出して、ブルーになる。

なんだこれ。ホームシックか?


ぼんやりと考える。


そもそも、異能バトルで勝利したら、もっとスカッとすると思ってた。


でも、心に残るのは、虚しさだけだ。


いや、別に戦いは虚しいとか、その手の説教くさいアレじゃない。


単純に、虚しかったのだ。



だって、だってさ、異能バトルってそういうもんじゃないの?


主人公はヒロインのために戦うし、それでヒロインとの関係性も縮まるし、一緒にトレーニングしたり、アクシデントでえっちな体験をしたり……。


俺がしたいのはそういう異世界転生異能バトルなんだよ!!!


なのにさっきのバトルはなんだよ!!!


あっちにはヒロインっぽい女の子いるし!


俺だって人の心はあるから殺しまではしなかったけど、絶対あいつら、帰ってからいちゃいちゃしてるだろ!!!


許せない……まるで俺が悪役みたいじゃねえか……。



いや、違う。誤解しないでくれよ。


別に俺はいちゃいちゃしたいわけじゃないんだ。


ただ、俺の行動に対する反応がほしいんだ。


なのに、それがない。


物語カクヨム投稿行使しても、通知ヒロインの声援や反応がなければ、虚しいだけじゃないか!


いや、もしかしたら俺の知らないところで、ひそかに声援を送ってくれているヒロインがいるのかもしれない。


でも、そのことが、即座に、能力者ユーザーに、通知されないこの世界は、何がしたいんだよ!


さっさと通知機能をつけてくれよ!


反応があったことを、俺に教えてくれよ!


これじゃまるで鈍感主人公せっかくレビューをいただいてもすぐ気づけなくて申し訳ない気持ちになるじゃねえか!!!



……

…………

………………



ああ、そうか、わかった。


まずは、そうだ、この世界でのヒロインを作るところから始めればいいんだ。


明日はついに始業式。

所属するチームもそこで決まる。


よし、決めた。


俺、異世界転生異能バトルのせかいで、まずはヒロインを見つけてやる!!!



ようやく晴れやかな気持ちになれた俺の長い1日は、こうして幕を閉じたのだった。





【次回予告】

ついに学園に通い始めた俺。だが、俺の人生を左右するクラス決定に一悶着が発生して……?

第5話『学級ジャンルによって人生のモードが違いすぎる気がするのは俺だけだろうか(仮)』

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