OBJECT 

潮音

ファーストコンタクト


この話は三次世界大戦後の世界で機械統制により偽りの平和に甘んじている表社会に抗い、再び、人間の手による統制を望む裏社社会の人々とそのどちらにも属さない中立派の三つ巴の戦いの歴史である。


巡回は基本的に二人一組で回るが今回、相棒のロビンが団長に呼ばれたため

俺一人で危険度が一番低い貴族街を巡回している。

この国、ブリタニア王国は荒廃してから治安が急激に悪化している。

だから俺たちのような騎士団が各区を巡回しなければならないようになった。

まあ他にも騎士には仕事があるのだが

表立っての仕事はこうした巡回や犯罪の取り締まりが主だとは言え、事務職とか簡単な仕事の方が恋しく思える。

この国は危険度が地域ごとにあり

最も危険度が高いスラム街は目も覆いたくなるような惨状だ。

そういった理由で基本二組の巡回が原則である。

だが貴族街も絶対安全とは言い難い

だからといってサボるわけにはいかないし、

治安を守る職である騎士が市民の安全を守らなければ誰がこの国を守るのだと言う話になってくる。

俺が無心で通りを巡回していると前方になにやら群衆が騒いでいた。

急いでその中をかき分けて元凶を確認する。

其処には小さな女の子とでっぷり太った貴族の男が揉めていた

「ごめんなさいって謝っているのに何で慰謝料なんて要求してくるの?」

「ふざけるのも大概にしろよ!この、糞ガキ!」

憤慨した貴族が腕を勢いよく振るう

咄嗟に僕はその手を受け止め捻り上げた

男は呻き声を上げて倒れた

そして逃げようとする少女の手を掴んで群衆に言い放った。

「関係者以外は立ち去りなさい!

くれぐれもBRNにこのことを広めてはいけません

さぁ早く!立ち去りなさい!」

そう叫ぶと蜘蛛の子を散らすように去っていった。

BRNとはこの世界にとってとても重要な情報端末の一種だ

仕組みは簡単で胎児が母体にいるときに母親が量子端末といわれる

カプセル状のPCを飲むのだ

それは母体の栄養源として吸収された後

臍の緒から胎児へ量子単位のPCとして再び構築されるのだ

そして月に一回の予防注射という名目のプロテクト注射を10歳になるまで続ける。

完全なプロテクトがかかるのは自我が芽生えた時点で自己制御に変わるからだ

この端末があればネットはおろかプロテクトを掛けていない人の考えも駄々漏れになる。

つまりプライバシーも減った暮れもないのだ。

だがプロテクトを破りドラッグ漬けにする悪い集団もいる

そういう集団を取り締まるのも騎士の務めだ。

少女と男に再び向き直り、僕は重苦しい口調で処罰を言い渡した。

「婦女暴行罪および恐喝の疑いで聴取を受けてもらいます

それと、君も未成年者なのでバンクを調べさせてもらうよ。」

手を少女の頭にかざしてBRNに接続しようとした瞬間

俺と少女のBRNを第三者がハックした

『ネネリー、時間だ。

量子転送と置き去りどっちがいい?』

「やだやだ!まだ遊び足りないもん!」

『はぁ、シゲ転送しろ

それと其処のお前、誰だか知らないが騎士の癖に簡単にハックされるとはお粗末だな』

通信が途切れた瞬間少女の体は量子分解され消えた

おそらく量子転送されたのだろう

逆探知を試みたが跡形もなく経路が切断されていた。

仕方がないので唖然としている男の会話履歴を収集し

警務科に量子転送した

それから何事もなかったように巡回を再開させた

この時、俺は知らなかった。

ハックされたと同時に監視させられていたなんて


一方某所

「あいたぁ!

もう!転送するなら丁重にしてよ!」

「そうはいっても掟を守らなかった

ネネリーのが悪いのですぞ。」

「置き去りにされなかっただけまだマシだと思え」

茶髪で和服の男と金髪でスーツの男が黒髪の少女を窘めていた。

金髪の男はネロ

裏社会組織、OBJECTのボスである

彼はとある目的のために

社会的に理不尽な仕打ちを受けたものを自身の組織に加えて活動している。

茶髪の男は竹中重遙という

日ノ島と呼ばれる島国の出身でOBJECTの一番槍を担っている

彼もまたネロと同じように目的があるのでOBJECTにいる

そして黒髪の少女はネネリー

彼女はまだ12歳で組織の中で一番最年少だが

ネロに才能を見出されOBJECTでスリ師や暗殺などを請けおっている

そんな黒髪少女ことネネリーは悪びれる様子もなくネロに意見した

「ねぇ、そんなことより良いの?

あのお兄さん、そんなに強いと思えないんだけど。」

その言葉を聞きほくそ笑むネロ

「嗚呼、奴の息子だからな

技量はともかく精神力は一級品だろう。」

「ふーん、よく知らないけど

取り敢えず役立ちそうなんだね

よっと、それじゃタカでもからかいに行ってくる!」

勢いよく部屋を飛び出そうとしたネネリーを重遙が襟首を掴んで制止する。

「待ちなさい

芳孝殿をからかうのは許しませんぞ。」

「ぶぅ、だって夜になるまで待機なんでしょ?

それまで暇じゃない!

つまんない!つまんない!」

そして痴話喧嘩をしている二人を横目に

ネロは呆れながらも喧嘩を制し今後の方針を話した。

「いいか、僕らの目的はあくまで世界平和のためだ

それは二人ともわかっているよな?」

「うん、もちろんだよ

国のお偉いさんが作った兵器を壊せばいいんだよね。」

「まあ、大まかに言えばですがね

ところでネロ、フリードの愚息をおびき寄せる理由を教えてもらいたい

まさかとは思うがフリードの意思を継がせて彼の代わりに仕立て上げたいからではないでしょう?」

その質問にネロはほくそ笑み、重遥たちに背を向けて答えた。

「そうだな、そのまさかだと言いたいがこれは僕の気まぐれさ

確かにフリードは優秀なスナイパーだった

だからといって息子まで同じ道をたどらせる訳には行かないだろう

彼は彼でありフリードの代わりなんてできやしないのだからさ。」

そこまでいうとネロは部屋を出て行った。

不服そうな重遥とネネリーが残った。

「全く、ネロの考えていることはわからないよ。」

「同じく、小生もお手上げです。」

そして夕方頃

報告もそこそこに巡察からジークが寄宿舎に帰ってくると寄宿長から手紙をもらった。

世界が衰退して一度、紙も高級品だったが今では量子が資源として成り立っているこのご時世で紙を使えるのはよほどの金持ちか俺の家のように紙の製造を担っている商家ぐらいだ

母さんからかなと思い差出人表記を見たがそこは何もかかれていなかった

不審に思ったが貴重なものなので一応丁重に切り取り中身を確かめる

中には数枚ほどの手紙だけだった。

恐る恐る紙の束を広げ文面を読む

手紙には丁寧なブリタニア語でこう書かれていた。



『親愛なるフリード・ベッセルのご子息、ジーク・ベッセル殿

突然で済まないが僕は訳があって正体を明かせない

だがこれだけは言っておこう、君のお父様の同僚であることは確かだ。

それで友人の君に一つ頼み事がある。

何、物騒なことではない

父親の友人として君に会いたいだけだ。

今夜、仕事のめどが付いた頃で良いので

下町のオフィーナという酒場で落ち合おう

では

君の父親の友人より』


父の友人はおろか父が何の仕事をしていたかなどというのは一切知らない

だが文面の『物騒なことではない』という文が妙に引っかかる

父は俺の知らないところで危ないことをしていたのだろうか?

父は俺が3歳になる誕生日に量子転送機の分解により消滅死したそうだ。

そのことはよく覚えていないし、母もかたくなに話そうとはしなかった。

だがもし、本当に手紙の主が父の友人だとしたら、父の死の真相がわかるかもしれない

そうと決まれば、足は既に下町へ向かっていた。

この後、俺の人生は一変するとも気づかずに



そして夜の闇に包まれた下町

辺りは量子発光ライトで星のように輝き

あたりは仕事帰りの商人や働きもしないのに酒をむさぼる穀潰し等で溢れ返っていた。

そんな酒臭い通りの中から目的地のオフィーナを探す

途中、妙な輩に金を取られそうになったり

吐瀉物をかけられそうになったりしたがすべて切り抜けた。

具体的にいうと暴力やら権力やらを行使したがその辺は省略しよう。

それから何軒か酒場を周って、ようやく店を見つけた。

ドアを開けて中に入ろうとしたら階段が地下につながっておりなにやら怪しい雰囲気を醸し出している。

一瞬、帰ってしまおうかという考えが浮かんだが好奇心のほうが勝った。

量子ライトではなくいまどき珍しいリンランプが薄暗い階段の足元を照らしている。

何とか薄暗い階段を下りて酒場の扉を開けると

中は酒や電子ドラッグの残骸などで足の踏み場がなかった。

辺りを見回し手紙の差出人を探していたら不意に肩を掴まれてそのまま後ろへ引っ張られた。

転ぶ前に掴まれた肩に添えられた手を開いている手で捻り上げようとしたが首に手を回され締め上げられる形になり抵抗をやめた。

首が絞まり酸欠で意識が朦朧とする中、締まっていた腕が一瞬にして切り取られ、男の断末魔で頭が覚醒したのでそのまま後ろへ頭突きをかましてやった。

頭突きをくらった男は舌を噛みそのショックで倒れた。

すると誰かが俺の手を引いてそのままカウンターの席に誘導された。

そこで思い切り息を吸い咽た。

「げほ・・・ごほ・・・がは・・」

おそらく、此奴が男の腕を切って、誘導した人物だろう

金髪の美青年がグラスを傾けて静かに僕を見ていた。

「あ、あの

助けてくれてありがとうございます。」

そういうと彼は済ました顔で量子ウィンドウを広げ注文をした

「ようこそ、オフィーナへ

手紙を読んでくれたみたいで嬉しいよ

嗚呼、今注文したものは僕からのプレゼントだ

御代は全部僕が受け持つ、それと入店から災難だったな。

ボクの名前はネロ正真正銘フリード氏の友人さ。」

手紙、フリード、その単語を聞いた瞬間、俺は戦慄した。

目の前にいる彼が父を知っている。

それだけでも驚くべき事実なのに彼の容姿が若すぎるからだ。

いくらどう見積もっても僕より1つ、2つ年上にしか見えない。

今は量子による整形手術があるがどうもそうではなさそうだ。

仮に彼が整形していたとして一人の成人男性の腕をナイフ一本で切り取れるはずがない。

つまりだ、肉体的にも精神的にも若さを保っていられる技術などまだこの世にはない

だとしたら考えられるのは最近、巷で騒がれている遺伝病という遺伝子による突然変異症状が一番だ。

 遺伝病それは単なる病原体のような物ではない人間ではない遺伝子が混ざり突然変異を起こし容姿的にも異様な髪色だったり腕や足が産まれつきなかったりする代償に超能力的な能力を備えるもはや別人種と言っても過言ではないものだ。

俺が神妙な顔つきで考えていると目の前にカクテルが置かれた

赤くルビーのように透き通ったその液体がまるでこれから起こることを予感しているような感じがした。

「なぁ、君は酒言葉を知っているか?」

不意にネロがグラスを傾けながら尋ねた。

「いいや、俺、酒は飲まないほうだし

酒言葉なんて興味がない。」

そう言うと彼はにやりと笑い腕を切り取ったナイフをこちらへ向けていった。

「花にも酒にも名前には言葉がこめられていることを知っておいたほうがいいぞ

その酒はXYZ、酒言葉は後がないという意味だ

君のようにな。」

彼が飲んでいたグラスを投げつけられそれをよけたが

下から抉るようにナイフが飛んでくる

それもよけようとしてカウンターにうつぶせになった瞬間

方を空いている手で肩をつかまれ仰向けにされてそのまま抵抗ができずにあっけなく心臓をグサリと刺された。

さされたことを引き金に酒場にいた連中全員がびびって我先にと出口へ押しかけた

騒ぎは外まで拡散してとても逃げられる状態ではない

心臓から血液が漏れる感覚と差された部分に熱を帯びてくるのがわかる

「どうだ、死ぬという感覚は?

コレを抜いたり、押し込んで貫通させるのもいいのだがそれでは交渉にならない。」

ニタニタと悪趣味に笑い床にうずくまる俺を見下すネロ

怒りと痛みで意識は何とか保っているがそう長くは持たない

血のあぶくを吐きながら答えた

「ゴホッ・・・・

ゼーゼー

お・・まえが・・・何を望んでいるか知らないが

俺は・・・何も知らない・・

だ・・が、ここで犬死するくらいなら・・・・・

「なら?君はどうするんだい?」

余裕の笑みでネロはジークの頭を踏んだ

「ぐっ・・こうする!」

俺は胸に刺さっていたナイフを引き抜き

勢いで自分の頭を踏んでいるネロの足に突き刺した。

そこで力尽き目の前が真っ暗になった。

ネロはと言うとジークの刺したナイフを抜き、そこ等へんに放り投げた。

投げた先には狐の仮面をかぶった和服の男がナイフを二本の指で受け止めた。

彼の名は英中立派の情報屋で

のらりくらりと情報を集め裏社会や表社会に情報を売りさばくのを生業とする奴だ。

「悪趣味だな

また盗み聞きか?」

狐仮面の奥底からクツクツと英が笑いながら懐から煙管を出した

そして徐に狐仮面を煙管で二回叩くとひょっとこの仮面になった

さもその仮面が彼の感情を表しているようでネロは眉間にしわを寄せた

「ひょ、ひょ、ひょ

なぁにちょいとした取引の帰りでふらりと寄ってみただけですぜ

オブジェクトの旦那

其処に転がっている死体、何なら高く買い取りまっせ」

「此奴は死体ではない

じきに目を覚ますさ、彼奴の子だったらな。」

「ふぅん

そうだ、待っているのも飽きますでしょ

一勝負、しましょか?」

指で弄んでいたナイフを構えひょっとこの仮面が不気味に歪む

そんな英を呆れながらネロは諭す

「やめとけ、お前は僕に勝てない

それに忙しいのでね。」

ヒラヒラと手を振り片手でジークの体を担ぐ

そして悠々と出口を目指す

「そんな安っぽい諭で私を宥めたつもりか!!

侮辱するのも大概にしろ!」

去っていく後ろ姿に渾身の怒りをぶつける為に英はナイフを片手にそのまま飛びかかった。

ネロはそれをいとも簡単に躱し、英の鳩尾に蹴りを食らわせた。

悲鳴も上げられずにその場に英は倒れ込んで仮面の奥の瞳がネロを睨み付けた。

「フン、これでようやく解ったか?

それでは、ごきげんよう。」

「・・・・・・・・・ちくしょう。

一つ、忠告しておくと女王が動いたぞ」

忠告も聞かずネロは去っていった。

そして地下から上がったら道ばたに意識のないジークを仰向けに寝かせた

刺した傷は跡形も無くなり着ている軍服に穴が開いているだけである

「・・・・やはり、彼奴の遺伝だな。

いつまで寝ているんだ、起きろ!」

頬を叩いて無理矢理起こすとジークはしばらく狼狽えたが

ネロを見るとキッと睨み、駄々っ子のように感情をぶちまけた。

「何で・・・・何で!

どうして俺を巻き込むんだ!

顔も知らない父さんの代わりか?

だったら他を当たってくれ!

俺は唯、普通に暮らしたかった!

騎士として、人間として!

これじゃあとんだ化け物じゃないか!」

その言葉を聞きネロは目を細めクスリと笑い

ゆっくりと立ち上がり、俺を見下した

「普通ではないことのどこが悪い

それに僕は君を彼奴の代わりに仕立て上げるわけではない

君の技量を測り父親に取るに足らない存在なら切り捨てるだけのこと

勘違いするな、その遺伝が必要なだけであり別に君自身が必要なわけではない

何、君がどうしても僕らに荷担することが厭なら遺伝子だけ抜き取るだけのこと

さぁ選べ、此処で死ぬかそれとも醜くとも生きる道か。」

俺は正直、平穏に暮らしていて疑問を持っていた

BRNに対しても、この貧富の差や地区分けの事にも

何故、ネット統括が完璧なこの社会で貧富や優劣が産まれるのだろう

戦争も不況も絶対的な統制下の元では産まれないはずなのに

彼に付いていけば全てが解るのか?

親父のことも、母さんは必死に隠していたけどそれも知りたい

答えはもう出ていた。

ネロの手を取り、より深い世界の闇へ行くのみだ

「解った。俺を利用するならそうすればいい

だがな、俺もお前たちを利用して親父のことを探らせてもらうからな」

そう言い俺が手を出すとどことなく虚ろな瞳で俺を見据えた

それはまるで人を人として見ず、品定めするような薄気味悪い笑みだった

「これで契約は完了だ

死ぬまで・・・いや、君は不死身だから役立たずに成るまできっちり利用することにしよう。」

そう言い終えると彼は僕の手を握り量子転送をした。

これから先、何が起こるかわからないがそれでも前へ進むしか無いと今は思う。

だがたとえ進む道が過ちだとしても俺はもう止まらない。

俺自身の“選択”によるものだから後悔はしていない



ブリタニア国、ロウェーネ城内

緑色の髪をなびかせ腰には日本刀を携えた女騎士が一人空の玉座に向かい跪いた

「報告します。

騎士の一人が逃亡を図った模様

BRNの痕跡も見当たらず未だ行方をくらませています

名をジーク・ベッセル、侍女長のヒルト・ベッセルの息子です

如何いたしましょうか?」

玉座から恐ろしく怒りをあらわにした声が響き渡る

それに身動くがリゼッタは一歩も引かず頭を垂れた

≪すぐに始末せよ!我が国の存亡がかかっているのだ!

おのれ、裏社会のドブネズミめ

生かしてこの国から出られると思うな!≫

「畏まりました。我が女王よ

貴女の怒りの根源を速やかに始末いたしましょう。」

そう言い終えるなり、リゼッタは玉座の間を後にした

玉座の間のドア付近で待っている部下にジークの居場所を問い詰めた

「お前は確かベッセルの友人だっただろう

あいつが寄りそうな所を教えてくれないか?」

ジークの友人ことロビン・ピセットは困ったようにはにかみ、答えた

「はい、自分にもわかりかねますがあいつは根が真面目なので

寄り道とかは極力しないと思います。」

「そうか、では手の空いているものを支給、騎士団門前に集めてくれ。」

「え?何か始まるのですか?」

困惑しているロビンをよそにリゼッタは遠くを見つめ呟いた

「これは、ただの叛逆ではない

おそらく、何かがはじまるのだろう」

と、その表情は何かを予感していたのかもしれない

だがその言葉にはどういう意味があり、どうしてそう予感したのかは彼女の勘のみぞ知る

だがこの時すでに戦いはとうに火蓋を切っていた


某所、地下室にて

二人の薄紫色の髪をした少女たちがあるモニターを見ながらクスクスと笑っている

「ねぇ、貴女はこの戦いどっちに掛ける?

確かにブリタニア国の騎士団は精鋭揃いでも彼奴らはこのつまらない世界に反抗し続ける異分子、可能性だけならあっちの方が有利よ。」

「・・・・・ブリタニア・・・崩壊

でも・・・・差別・・・広がる。」

そう青色のリボンを猫耳のように付けた双子の妹が独り言のように呟く

その返答にこちらも赤いリボンを猫耳のように付けた姉が満足そうにうなずき、部屋を出る。

「さぁてとお父様にこのことを報告しなきゃそれではごきげんよう。」

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