ぶらっくほーるへようこそ

「君はブラックホールを知っているか」

「重力の渦ですね」

「そうだ、だがそれて少し違う」

「違うというのですか」


「これを見るのだ」

「見えます」


第一印象カビくさい部屋、鼻孔をかすめるその匂いに誰しもそんな思いを抱くだろう


「古い和室ですね」

「そうだ古い和室だ」

「それと障子が破けてますそれに黄ばんでます」

「そうとおりだこれで家賃は50000円を超える」

「なんと」

「高いと思うだろう」

「はい」

「私も高いと思うのだ」

「酷い話です」

「それにだ障子を見ろ」

「これは超スローモーションで血のようなものが勝手に浮き出してますよ」

「そのとおりだ」

「なんたる不思議」


「人ならざるものが住むのだ」

「つまり幽霊だと」

「おそらく」

「信じられません」

「信じられないというのか」


信じられないと思うのだった。


「呼び鈴が鳴りましたよ」

「そうだちなみに24時だ、これまでこんな時間になったことはない」

「ではそれを押すのは誰なのでしょう」

「これは人の仕業だろう」

「なんと」



「今度はこうだ」

「なんといきなり勝手にブレーカーが落ちるとは」

「それだけではない」

「テレビも勝手に消えるのですね」

「そうなのだ」

「きわめつけだ」

「まだあるのですか」

「あるのだ、まだ」

「それは」

「風呂場の外を通りすぎる影だ」

「影ではありませんか」

「そうだ現場に人はいない」

「それとだ押入れにはブラックホールがある」


「ちょっと何言っているのか分かりません」

「言葉でアレを体現するのは難しい」

「何ということでしょう」

「夢の中で吸い込まれそうになるのだ、また同じように吸い込まれそうになるのだ」

「一体なんなんでしょうか」

「あれはまるでエンドレスループだ、宇宙のダークマターと霊的存在は似ているのかもしれん」

「つまりどういうことでしょう」

「分からん2039年には解明されてるかもしれん、時を待つのだ」


オチはないのだった

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