カクヨム開発さん頑張ってくださいね
ダイスケ
第1話 カクヨム開発さん最後の追い込み
あと6時間12分か・・・。
KADOKAWA所属のカクヨムシステム開発部田中プロジェクトマネージャー(仮名)は、SEIKOの腕時計を眺めて、呟いていた。
この時計は誕生日に妻から貰ったもので、趣味のフットサルにも使える短時間ワークandレストも可能な高度なストップウォッチ機能がついている。
40分作業する。5分見直す。40分作業する。
ワークとインターバルを繰り返すことで常に短距離ダッシュの仕事スピードを保つ田中PMは、まぎれもないビジネスエグゼクティブであった。
だが、その田中PMのスピードについてこられる部下は少ない。
彼は苛立っていた。
それも無理はない。愛妻家の彼も、ここ3日、家に帰っていなかった。
大規模システム開発プロジェクト「カクヨム(仮命)」のサービスインの時間が、あと6時間と少しまで近づいてきているからだ。
あと6時間と3分。
田中PMは、始めは月単位で数えてきた工数が、分単位にまで縮まった来た今を、焦りと安堵の気持ちで見守っている。
サービスの評判は上々だ。
だが、ローンチはうまく行くだろうか。サーバーの応答速度は充分だろうか。対策はしているが、思わぬ事態でログインが不可能になったりしないだろうか。
システムに何かあった場合、今の体制で乗り切れるだろうか。
PMは開発室を見回した。
その部屋は、ローンチ寸前の熱と、疲労が蓄積した奇妙によどんだ空気が充満している。半分のプログラマーは寝袋にくるまって床で寝ている。
こいつらには、苦労をかけた。
田中PMは時計を見つつ、いまかいまか、とサービスローンチに向けた3回目の最終テストの結果を待つのだった。
あと5時間50分・・・。
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