Chapter 1

薄暗い室内にカーテンの隙間から朝の光があたる。

事務机の横の来客用のソファに無精ひげをはやしてネクタイを緩めた

ワイシャツ姿の男が靴をはいたまま、横になっている。


机上電話のベルが鳴り出す……男はゆっくりと起き上がり、受話器をとる。


「千堂だ。……なんだ、お前か?」


「なんだ、はないだろう……仕事の話だ。さては、また美亜ちゃんがいなくなったのか?」


「また人探しか?アルバイトはもうこりごりだ」


「いや、人探しには違いないが、今度は本業の方の仕事のようだ。アメリカのエージェントを通してきている。UMA(未確認生物)がらみの事件だ」


  


電話の相手は手短に用件を伝えた後、

「……美亜ちゃんによろしく伝えてくれ。そんな汚い事務所やめて、高坂のおじさんと組まないかってな!」


受話器を置いた千堂は、不機嫌そうに鼻をならした。


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