カニバリズム
パンのみみ
第1話怠惰系天才男子
「3位は、広田智則選手!」
あー……眠ぃ。
俺は山中怠惰って名前だ。中2だ。
今は柔道…だったかな?その大会の中学生の部の国内大会が終わって表彰中だ。
自分の出てた大会でも、やっぱ表彰の時とかは眠くなっちまうよな。
運動して疲れてるし、早く表彰終わんねーかなぁ……帰って寝てぇし。
「準優勝は西田明弘選手!」
周りの観客達のさー、拍手の音とか、歓声とか、マジうるさいよね。
ところでちょっと愚痴らせて欲しいんだが、俺は家でゴロゴロしていたいのに、両親が許してくれねーのよ。
運動を無理強いされるんだ。しかもさ、いろんな事させるのよ。球技だとか武道だとかね。嫌になっちまうぜ。
毎日毎日体を動かして青春の日々を送って思い出作り、なんて俺には必要ないし、したくもない。
昔は嫌すぎて、反抗したなー。ただし直接言うと怒るから面倒くさいし、自分の布団に接着剤撒いて、翌朝動けなーいとか言ってな。
まぁ、結局こうしていまだに大会なんかに出場を強制されたりしている。山中家はブラック企業かなんかですかね。
「そして優勝は、山中怠惰選手です!」
……あぁ、それにしても眠い。帰りたい。
☆★☆★☆
時は過ぎて、怠惰さんも高校生になりました。
高校選びは家から1番近いところで、偏差値高いところだけど、推薦ですぐ入れた。
家にあるすげー数の金メダルとか表彰状が初めて俺の役に立ってくれたと思ったよ。
それで入学したての頃はさ、なんか俺有名人だったらしくてさ、年上からの部活のお誘いとかクラスの人とかの質問攻めとかすっごい面倒だったのよ。
だけど1週間も経った今では、俺が面倒くさがってテキトーにあしらうから、みんな寄ってこなくなったよ。
周りが静かってホントにいいよなー。よく眠れる。
目を覚ませば今日の授業も全部終わってるし、帰って寝ますかね。
「キミ、ちょっといい?」
誰かが誰かを呼んでいるようだが、俺には関係がないのでとっとと教室を出るかな。
「ちょっと!なんで無視するのよ⁉︎」
無視は流石にやめてやれよ、誰か知らないけども。
「やーまーなーかーくん!止まれっ!」
「……俺?」
「他に誰がいるのよ!この教室、アナタしか居ないじゃないの!」
言われて周りを見渡してみる。
「ホントだな、誰もいないわ」
「いないわ…って、アナタ気づいてなかったの?」
「んー、寝てたからな。1限目からの記憶がないわ」
「はぁ……まぁいいわ。人がいない方が好都合だし。少しお話しいいかしら?」
帰りたいけど、言ったら面倒な感じするし、しょうがないから聞いてやろうかな。気は進まないけども。
「少しだけなら、まぁ……」
「アタシのところでアルバイトしない?」
「バイト?面倒だからやだ」
さて、返事もしたからもう帰るか。
「待った待った!早いって!もーちょい話聞いて!」
「ちゃんと用件聞いて断ったし、まだなんかあるのか?」
「少し調べさせてもらったわ。アナタ、いろんなスポーツで輝かしい結果を残しているわよね?でも、それはご両親に無理強いされていたのよね?」
「うん、そうだけどさー。なんでそこまでプライベートなこと知って……」
「次はスケートって言ってたわよ?」
「えっ、マジか⁉︎高校入ってもまだやらせる気なのかよ……」
「でも安心して。アタシのとこでバイトすれば、多分ご両親も無理強いしなくなると思うわよ?」
「うーん……ホントにそうなら悪くない話かも知れないけど……バイトって何のだ?」
「最近、ニュースでよく見るでしょ?謎の失踪事件ってやつ」
「ん?あぁ、そういうの増えたよな。なんか血痕が残ってて、それを鑑定するといなくなった人のものと一致するってやつだろ?」
でも、それがバイトの内容となんの関係があるんだ?
「あの事件を解決するのが、仕事内容よ!」
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