生物学者の異世界調査
金糸雀
プロローグ
なぜだろう、今思えば冷静になって観察するべきだったと思う。
なぜドラゴンが現れたからと言って興奮して突っ込んでしまったのだろうか?
でもしょうがないのかもしれない、ドラゴンなのだから。
「いやいや、どこもしょうがなくねぇよ!」
そしてこの突込み担当のようなキレのいい突っ込みをする人物、実は神である。
なぜ神がいるかだって?
ハハ、察してくれよドラゴンにやられたときにどうやら神界と言う場所に来たらしい・・・本当だよ?
嘘じゃないよ、え?信じてるってじゃあなんでそんなかわいそうな子を見るような温かい目で見てるの?
話を元に戻すと、ドラゴンについては神様の不手際があったらしく、謝罪ついでに呼び出されたんだが・・・いつから説教される側になってたっけ?
なんか最初は最近の人間は神に対しての敬意が足りんとか、天使どもは休暇もくれんし、とか愚痴をこぼすしてたけど・・・。
なんだか俺の中にあった神っていうのは生物の頂点という自論が、跡形もなく崩れていったような気がする。
きっとこういうのが原因だと思いますよ神様?
まあ、でも神様の話にはいくつか気になる点がある。
実を言うと俺、相原榑人は生物学者である。
だからこそ初めて見たドラゴンという空想上の生物に興味を持ってしまい見た瞬間興奮して,笑いながら突っ込んだら尻尾ではたかれて死んでしまったらしい…あのしっぽの強度からして,ドラゴンと言うの鱗がかなり固いと予想されるということはどのような食事をして・・・いや、ドラゴンと言うのだから、食事は必要なのか?ではあれはもともとほとんどのドラゴンが持っているうろこの強度なのかだが・・・。(あとこのような思考に40分ほどつかります。)
「長いよ!!」
またまたナイス突込みをしているのはみんな大好き神様です。
実はこの神様老人のような恰好をしているイメージがあったのだが、イケメンだった。
まあ、別にイケメンだからと言って、何になるという話である。
たしかに生物学上交尾の重要性はわかっているし、イケメンはその交尾をしやすくなるということもわかっているだが、やはりそれだけならどうでもいい、だがやはりイケメンを見ることは・・・。(あとイケメンへの愚痴が20分ほど続きます。)
「また長いよ!!それとおい、わしの外見を罵るのやめてくれない!?いや別にほめられても嫌なんだけどさ!?」
この神様ついに自分の言葉に突っ込みをし始めました・・・神様は俺の突込み担当っと、覚えとこ。
てかイケメンが儂って・・・外見詐欺じゃない?
「誰が突込み担当だ!!てか外見詐欺じゃないよ!!」
お、さすが突込み担当だな。
「もういいよ!!それよりも気になる点って何?
君殺しちゃったのは儂だから、それなりにしてあげれることは、してあげようと思ってるから逝ってくれ」
今逝ってくれって言った?ねえ言ったよね?
は!?おかしい、なぜ突込み担当であるはずの神様に俺は突っ込みをしているんだ!!
まさか、神様・・・ボケ担当だったのか!?
「違うわい!!」
違ったみたいです。
まあそんなことはいいとして、俺が気になった点それはドラゴンは実在するのか?という点だ。
まるで神様はドラゴンを普通に存在する生物のように言うが俺は生物学者歴3年(案外少ないという質問は受け付けない)にしてそんな話は聞いたことがない。
ドラゴンと言うのは空想上の生物だったはずだ。
考えられる可能性として・・・異世界があるか、この神界にすんでいるか、地球のどこかに隠れているのか三つになる。
「まあ、君ならそういうと思っていたがやはりそれか、だが主神様に怒られてしまうしな・・・」
う~ん、もしかして神と言うのは何体もいて序列があるのだろうか?そして一番上が主神?という人物で、もしかしたらその主神と言うはこの目の前の神様とは違う生物なのだろうか?
ならばぜひ会ってその生態を調べてみたい。
「いやいや、あのお方はいつも忙しいしわしも会うの怖いんじゃが・・・」
なんかこの神様からは、俺の前の世界の唯一の友人の平社員と同じ感じがする。
神と言う存在もやはり序列があるのは確定だな。
でもこの神様どのぐらいの序列なのだろうか?
「ふ、わしの序列?まあ主神様の次に偉いぐらいぐらいじゃな。」
ん?思ったより高いな、自分的に一番下かと思ったが・・・何気に優秀だったりするのか?
「優秀ですけど何か?ねえ?儂なんかした?ちょっと君の中での儂の評価低くない?」
え、ドラゴンを間違えて地球に入らせちゃったことでしょ?
「すいませんでしたぁぁぁぁーーーーーーーーっっ!!」
と言って土下座する神様。
日本の文化がよくわかってるね!!
「ッ!!もういいからさ、さっきのこと以外でなんかないの?」
う~ん、まあ、あるといえば地球の生物を全部研究し尽くしてないということぐらいかな?
あ、それとドラゴンを解剖して研究したい!!
「えっと・・・地球にはもう転生できないんだけど、ドラゴンがいるような異世界ならまだ転生権が残ってるんだけど、どうする。」
もちろん異世界に行かせていただきますが、何か?
てかやっぱ異世界説だったか・・・
「は!?主神様に怒られる。まあ、黙ってれば問題ないか・・・。
それと・・・いや、なにってわけじゃないだけどね、異世界って君みたいなヒョロヒョロが生きていけるほど楽な世界じゃないんだよ。」
そう言われて自分の体を見てみる、身長は175cmと高いが体重は50という低さ。
筋肉などほとんどないと思われる腕の細さと女顔で長い髪・・・まあ、どうみったって屈強の男ではないことは確かだけど・・・別に大丈夫だよ!!ドラゴンに会えるんだったら育てるし、筋肉。
「いやいや、だからそんなヒョロヒョロの君にいい話があるんだよ。
新しい世界では、地球とは違った肉体と能力で生きてみないか?」
いいよ。
「軽ッッ!!え、肉体変わるのにそんな簡単な一言の返事でいいの!?」
え、だって別に研究できれば体とかどうでもよくない?
「さっき、イケメンとか言って気にしてたじゃねえかぁぁぁーーーー―ッッ!!」
おぉ、そんなに怒ると血管切れるよ?
「切れねえよ、てか血管ないよ!!」
え、ないの?
てか、神ってもしかして人間と身体構造違うの?
だったらちょっと横になってくれない?
お礼もそれでいいからさ?
「何する気なの?ねえ、もしかして解剖とか人体実験じゃないよね?」
違うよ、ちょっとだけえぐって、体の中身見たり、鉄球当てたり、毒とか飲ませたりして調べたいだけだよ
「それを人体実験っていうんだよ!?」
おぉ、ナイス突込み!!
「黙っとれ!!、もういいや君はとりあえず異世界に送っちゃうからね!!」
え~、実験は?
「いやだよ!!なんで君に自分の体渡さなきゃいけないの?
てか神なんてそうそう・・・あ、いいよ。儂じゃないけど適任がいたわ。
神もつれてってあげるからあっちの世界を思う存分新しい体と能力で生物を研究してきなさい!!」
そういって俺は光に包まれた。
さあ、俺の異世界生物研究の始まりだ!!
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