エピローグ 私がここにいる意味
「ふぅ、やっと片付いたか」
拳銃をホルスターにしまいながらやれやれとベックは息をつく。
周囲を窺ってからジュリアは柱の影から出た。
「終わりました?」
「あぁ、終わったよ。君が少しは手伝ってくれていたらもっと早かっただろうが」
「冗談やめてくださいよ」
心底嫌そうにジュリアは答える。
ごく普通の女子大生を元陸軍の特殊部隊員と同じにしないでもらいたい。
肩をすくめるベックの周りにはマフィアの下っ端たち六人が地面にキスをして伸びていた。
ベックに雇われて数ヶ月。
ジュリアは今でも彼の助手を続けている。
もちろんクロスラインの修理代もまだまだ残っていて、当分はこうして命のリスクが付きまとうこの仕事を辞められそうにない。
だが、最近では楽しさを覚えるようになった。
親愛、憎悪、無関心。
人は記憶に抱く思いは様々だ。
たった一人の記憶には様々な人の感情が見え隠れするし、記憶そのものに特別な思いを抱く者もいる。
記憶にまつわる思いに触れ、それを理解することがここにいる意味なのではないかとジュリアは思うようになっていた。
「さっさと行くぞ。クライアントとの合流まで時間がない」
「あ、はいッ!」
ハッと我に帰って走り出したベックの後を追う。
まだまだ先は長くなりそうだ。
◆◆◆◆◆
最終話まで読んでいただきありがとうございます!
ベックがクールでめっちゃいい!
クロウト、地味にモテそう
ジュリアもっと苦労人して(笑
ハードボイルドな世界観、良くて好き
と思いましたら、ぜひ★評価とフォローお願いします!
そしてこの後、EXエピソードもありますので、是非そちらもご覧ください!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます