世界の果て
唐揚げ大好き
第1話
「クソッ! ここもダメか」
色々な通販サイトを覗いてるが、全て売り切れか。
やっぱり、世界の果ては人気だな。
世界の果てはとは、VRマシンを使った新作のVRゲームだ。
そのゲームを凄くしたい。やりたい。
世界の果ては、魔王に世界征服された世界を救う、という王道オンラインゲームだ。
ベータ版をやって以来、面白くて買いたくて、待って発売日当日、目の前のパソコンの画面には売り切れの文字、泣きたい。
しかし、まだだ。まだ終わらん。
俺は奴が帰ってくるまでまだ諦めん!
今の時間は……十七時台か。もうすぐ十八時になるな。
俺はもう夕食は食った。風呂には入った。あとは奴がゲームを買ってダウンロードするだけだな。
「ただいま!」
お! 噂をすればなんとやら、というやつだな。
奴が帰ってきた。
階段を凄い勢いで登ってるな。漫画だと、ドドドドドッ! という擬音が似合うな。
「買ってきたぞ! 兄者」
金髪でモデル体型の、我が可愛い妹が帰ってきた!
その右手には……レジ袋持ってる。
いやっほう! さすがだぜ!
「ナイスだ。シルベリア」
「よくやった! 我が妹よ」
椅子を半回転して立ち上がり、シルビィとハイタッチをした。
シルビィーとは、一応血が繋がっている。
不倫した母さんと離婚した俺の父さんは、ロシアに行ってロシア人と結婚し、子供が生まれた。
それがシルビィだ。
年齢は一歳しか離れていない。
何があったのかは聞きません。
まあ、自慢の妹だ。
今、世界の果てをダウンロード中です。
やはり、時間が掛かります。
その間に、シルビィはお風呂に行っています。
ゲームを自転車で買って来でくれたので、汗まみれだ。
汗臭いままゲームをするのは酷なので、お風呂に行かせました。
もし私が変態なら、シルビィの汗まみれな服の匂いを嗅いでいたでしょう。
ですが、俺は紳士だ。
抱き着くぐらいしかしません。
合意の上です。犯罪じゃありません。
ん? メールだ。
どうせ父さんからだろうな……
あ、やっぱり。
また母さんと旅行に行った写真か。
場所は、ハワイか。
あれ? 一か月前にもハワイの写真が来たような。
うん、きてる。
この家には今、俺と妹のシルヴィしか住んでいない。
父さんと母さんはご覧の通り、海外で仕事をしています。
なんでしょう。このアニメや漫画、小説によくある展開は。
ありがとうございます!!
さてと、そろそろダウンロードが終わりそうだな。
「兄者! もう始められる?」
シルビィが階段から登ってきました。
夕食は食べてきたようだね。
口の端にご飯粒が付いてる。
「あと一分ぐらいかな? それと、口の端にご飯粒が付いているよ」
シルビィは、舌で口の端にあるご飯粒を舐め取る。
なんかエロイです。興奮します。
「そうなんだ。ならもう準備しとこう」
シルビィは部屋の隅にあるダブルベッドからゴーグル型のVRマシンを持って、装着してベッドに寝っ転がる。
「なら俺も」
シルビィと同じように、ベッドにあるゴーグル型のVRマシンを装着してシルビィの隣で横になる。
目の前は真っ白で、ダウンロードの残り時間が表示される。
「始めよう」
「うん」
シルビィと俺は手を握る。
同時に『ダウンロードが完了しました。ゲームを始めることが出来ます』という文字が目の前に流れる。
「「ゲームスタート」」
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