ダーツの矢

@chrono-s

疎外








連城の学年で、木森は一番嫌われていた。









木森は自分が嫌われているという自覚がなかった。




縦横ともに大きい図体。


無駄に長い髪の毛。


ニキビ面で残念な顔。


運動音痴 音痴。


頭も悪い。







しかし、木森が嫌われる最たる理由は、その、歪んだ性格だった。






あらゆる人を見下すような言葉。


誰よりも自分が一番だという態度。


自分より立場が下だと判断した人間に対しての、執拗なイジメ。








連城の友人の尾田に対しては、明らかに見下した態度をとっていた。


尾田は小柄で気弱。


木森はそんな尾田を毎日イジメていた。







連城はいつでも尾田の見方だった。



連城だけではない。


学年全員尾田の見方。


つまり木森の敵。











それでも木森は尾田をイジメる。



木森は今日も人を見下し、優越感に浸っている。



そんな中学二年生の夏。














「アイツ、ウザインダケド」







「マジムカツク」








「スゲーイライラスルンダケド」







「ソレナライッソ……」















中学生の人間関係。


現代社会の人間関係。


人の人間関係。








それには、きっと、裏がある。



何故なら、その関係を作り出す「人」そのものに、裏があるからだ。





















誰かの裏が表に出た、ある夏休みの話。





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