告白なんて、できっこない!? ~それでも俺は、恋をする~
メグリくくる
高校時代 決別
高校二年生の時、俺は二次元の壁を越えれないこと悟った。
きっかけは数学の授業、微分積分を習った時の事だった。
当時、俺は本気で二次元に、美少女に一生を捧げ、三次元の女性を捨てる覚悟ができていた。
だから、数学の時間で微分積分の存在を知ったときの衝撃は、今でも鮮明に覚えている。
微分は次元を下げる行為であり、積分は次元を上げる行為だ。
つまり、微分は三次元から二次元に行くのに使え、積分は二次元から美少女を三次元に連れてくることに使えるということになる!
だから俺は、微分積分を習った時から、数学漬けの毎日を過ごした。
全ては二次元の美少女とイチャラブするために!
しかし、俺は二次元に行くことも、二次元から美少女を三次元に連れてくることも、できなかった。俺は、絶望した。
その絶望から逃れるため、今まで数学に注いでいた情熱を、俺はスマホのアプリ開発に全力で注いだ。あまりの絶望に、現実逃避したのだ。
俺が二次元に目覚めたきっかけは、告白して、フラれたからだ。その時まで普通に三次元の女性に恋をして、彼女が普通に欲しかった。
正直に言おう。俺は今だって彼女が欲しい!
俺が二次元に目覚めたのは、そこに理想の美少女がいたということもあるが、それと同時に自分のことを好きになってくれる女の子がいたからだ。
自分の想いが届いたからだ。
拒絶されなかったからだ。
ここでなら、もうあの身を引き裂くような思いをしなくてすむと、知ってしまったからだ。
だから、二次元に逃げてしまった。でも、もう二次元にばかりに傾倒してはいられない。何故なら、二次元と三次元を完全に越えることはできないと、俺は知ってしまったのだから。
逃げ込んでいた場所には、もう逃げ込めない。
もちろん、微分積分は本来二次元と三次元の間を行き来できることを証明するために用いるものではないので、微分積分でダメだったからといって、即三次元から二次元に行けないと結論付けるべきではない。それはわかっている。
でも、俺は微分積分すがった。欲張ってしまったのだ。それが例え二次元だったとしても、擬似的に誰かとつながったという体験が、その先を、実際に自分の好きになった人と触れたいと、その先を求めてしまった。
だから俺は、目の前に現れた二次元と三次元を越えられる可能性、微分積分に飛びついたのだ。そして、それは無理なんだと知ってしまった。
でも、それでいいのだ。俺は三次元に生きている。生きている以上、どうしようもないほどに三次元で生き続けるしかない。前に進むしか、ないのだ。
だから俺は、三次元で彼女を作る。前に進むべき時が来たのだ。今ならできるはずだ。
三次元で、二次元の嫁としていたようなイチャラブをしてやるんだ!
だがしかし、俺が、『自分から告白する』なんて、到底できっこない。
しかし、告白をしなければ彼女はできない。だが、俺は告白できない。告白している自分の姿が想像すらできない!
じゃあどうする? あちらを立てればこちらが立たず。そこで俺は考え、そして導き出したのだ! このジレンマを解決する、冴えた方法を!
自分がチャンスを、告白して成功するというチャンスを活かせないなら、想像できないのなら、逆ならどうだ?
逆に、俺に告白できるというチャンスを活かしてもらうのだ。そう。『女の子から告白してもらう』のだ。すごい! これならまだ想像できる!
今まで藁にもすがる思いで摂取してきたアニメやゲームの主人公を、自分に置き換えるだけなのだ。想像できない方がおかしい。
……いや、言いたい事はわかる。
それって、結局マンガの主人公みたいに女の子を惚れさせないと意味ないだろ、ってことだろ? わかっている。嫌というほどわかってる! わかってるんだよそんなことっ!
でもな、自分から女の子に告白して成功する未来像が、この先生まれ変わったとしても見えてきそうにないんだよ! だったらまだ少しでも自分が想像できる『女の子から告白してくれる』という状況に賭けるしかないだろ!
そう。これは博打、賭け事なのだ。俺の人生を賭けた、一世一代の大勝負。
俺が女の子に告白するという機会を、行為を全て排除する。
その代わり、女の子から告白されるかもしれないという機会に、全てを賭けるのだ!
だから! だからこそ俺はこれから努力する! 大丈夫! そこそこ体を鍛えて、無難な服を選んで、髪は美容室に行って『短めで!』と言っておけば外見はある程度何とかなる! そのために、アニメとマンガもある程度控える!
俺の進路は、従姉弟のねーちゃんが通っている大学にした。俺の高校から、俺と同じ大学に進学するやつは一人もいない。俺は、親しい人はねーちゃんぐらいしかいない、全く新しい環境での生活をスタートすることになった。
二○一三年。
俺、中嶋 和春(なかじま かずはる)は明日、大学生になる。
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