長宗我部の野望ー龍馬の変わりに日本を洗濯し候

財浄水音

四国独立

第1話 四国独立

「ここで、速報です。日本国政府は、本日、愛媛県、香川県、徳島県、高知県、4県からなる、通称「四国国しこくこく」を独立国として正式に承認する趣旨の閣議決定を行いました。これによって、速やかに国連への加盟も承認される見通しとなり、北朝鮮のみが国家として承認をしていた「四国国しこくこく」が正式な国家としての歴史を刻んだ瞬間とも言えます。「四国国」の自称官房長官である、白水博士しろうずはかせと中継が繋がっています。白水博士」


「はい」


四国国しこくこく、満場一致の閣議決定ですが、お気持ちはいかがですか?」


「そんな事より、早く通称四国国しこくこくとか言うのをやめていただけませんか?いい加減迷惑なんですよ」


「は?」


「は?じゃないよ。あんた、失礼ですよ。あなたたちマスコミが勝手に付けた名前じゃないですか。冗談じゃないですよ。なんですか、そのしこくこくって。おちょくってるんですか?私達は誰も、四国国しこくこくなんて呼んでいませんよ。長宗我部帝国ちょうそかべていこくです。」


「本当にそんな名前になるんですか?」


「何が言いたいんですか?」


「失礼しました。帝国と自ら名乗る国というのも斬新で新しいなと思いまして。長宗我部帝国は、今後どのような国になっていくんでしょうか?」


「これからが本当の勝負どころでしょう。国家運営としては、瀬戸内海を挟んだお隣の貴国、つまり日本国との信頼、友好関係は当面最も重要な政治的課題と言えるでしょう」


「意外と普通なご意見なんですね。」


「何か文句でもあるんですか?」


「いえ、そういう訳では・・・ところで、長宗我部素親ちょうそかべもとちか氏が皇帝となる予定と伺っておりますが、その方針に変更はありませんか?」


「帝国なんだから、皇帝がいるでしょう。我が国父、長宗我部素親ちょうそかべもとちかが初代皇帝となります。そろそろ時間が無いんだ。くだらない質問なら勘弁してくれ。こっちは2日寝てないんだ」


「私は白水博士を探して、3日寝ていませんよ。」


「そんなの知るか、なんだ、お前、さっきから喧嘩したいのか?」


「申し訳ございません。そんなつもりではありません!何かアピールしたい事項はありますか?」


「やる気のある人材なら大体歓迎するよ。どんどん来てくれ。今なら審査に通れば永住権と土地、それに様々な待遇を無償提供するよ。ただし、墾田永年私財法的な感覚の話ではあるがね。」


「何ですか?その墾田永年私財法というのは?」


「お前、いい加減にしろよ!マスコミ就職できたって事は、いい大学受かったんだろ!なんで墾田永年私財法も知らねーんだよ。中学校で習うだろ!いい加減にしろよ!だから日本が嫌なんだよ!こういう奴らが偉そうにして、高い給与当然にもらいやがって」


「いや、私は知ってますよ。ただ、一般の視聴者の方は知らないと思うので、代弁させてもらったんです。」


「なんだ、ついに本音が出たな。そういう一般人は馬鹿だと決めつける上からな偉そうな態度がお前らの国の※※※(放送禁止用語)な所なんだよ。まあいい。墾田永年私財法と言うのは、自分で耕した土地は、永久に自分の土地になるという奈良時代の法律です。正し、奈良時代と同じように、電気系の動力を使わず耕した土地に対してのみとさせて頂きますが。」


「随分とまた、変わった試みをされるんですね。」


「お前に軽くコメントされたく無いわ。こっちはあらゆる角度から真剣に国家運営を検討し続けてきてるんだよ。」


「話題が段々反れていきましたので、インタビューを再開させていただければと思います。公用語は、英語、公文書は候文そうろうぶんになるという事ですが、本当ですか?」


「ああ、その予定だ。候文はグーグルで翻訳が簡単にできない、日本人が有利な言語だし、日本の本当の伝統を守り抜く事は、我が国としては大事な価値観なのでね。ゆくゆくは、候文を伝統と格調を守りながら、現代の実用に最適な言語に修正をし、国語としたい。法律、行政手続やビジネス上の文書のやり取りの一切は、候文で運用する事になるでしょう。だが、行政や企業活動における口語でのコミュニケーションは英語に統一する事で、海外との風通しを確保した。海外の優秀な人材や投資家に優しい国にしていくつもりだからね」


「通貨は、白水博士が開発したネットワーク通貨、永楽通宝、通称EIRAKUのみとなる、という事なんでしょうか?」


「ああ。そうだよ。文句ある?そろそろ忙しいから行くよ。後、今度インタビューする時は、英語でお願いしますね。国家としては、会話は英語を母国語とする方針なのに私が日本語のインタビュー受けていては示しが付かないからね。それでは」


「あっ、待ってください。日本との外交戦略方針については・・・・、白水官房長官が急用との事で、インタビュー中断誠に申し訳ございません。以上、永田町からお伝え致しました」


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