パドゥア
「オカダ君、大丈夫か?」
カクさんがマット代わりになって受け止めてくれた。
「ブエルムの始末はビルショウスキーに任せよう。オカダ君はビワ湖へ急ぐんだ」
立ち上がろうとすると横っ腹に激痛が走る。やはりアバラの1、2本は折れているのかもしれない。
追撃してくるブエルムの足元に湖賊からの支援射撃が次々と着弾した。砂埃で淡いカーテンができるほどだ。それでも巧みで俊敏な動きをするチェーンの化物には、誰も命中弾を与える事はできなかった。
「ぬう……また邪魔をする気か」
ブエルムはトラックの荷台に火器を取りに戻る。その隙にカクさんに引っ張られて湖賊の陣地に退避する事ができた。ビルショウスキーが僕の背中を叩いたが、肋骨に響いて息がしにくい。
「あんた、奴の挑発に乗って戦うと死ぬよ。S級奴隷の実力は分かっただろう。A級奴隷のように、ここから逃げるんだ」
「いや、だめだ。それに一回戦目で奴の恐ろしさは十分に身に染みている」
「おっと、逃げ出すなんて言って悪かったね。デュアンを追っかけるんだ。戦いは引き際が肝心で、そうやって我々は今まで生き延びてきたんだ」
彼女は丸腰になった僕にAK-47自動小銃を手渡してくれた。そういえば自分の銃はバイクに置きっ放しにしていたな。
外部に目をやると、アニマロイド達が連携して地面からケーブルを掘り出している。ゲートの重い扉を開閉するための電源ケーブルだが、一体何をするつもりなんだろう? ゴールドマン教授の姿も見えないが、どこに隠れて震えているのやら。
「オカダ君、ライオン頭の姉ちゃんの言う通りだ。奴と遊んでいる暇はない。教授を探して今すぐ出発しよう」
「カクさん、それにビルショウスキー、聞いてくれ」
ブエルムは連射の利くラインメタルMG3機関銃のスリングベルトを肩にかけ、腰だめで発砲し始めた。重火器を軽々と扱っているのがすごい。耳をつんざく凄まじい発射音と火力だ。もはや誰も対抗できないと思われた。
「奴とは決着を付けなきゃならない。ケプラー22bが持つ暗黒面の力の象徴なんだ。戦うために生まれてきたような奴を救ってやるには、全力でぶつからないとだめだ。今ここで退くとブエルムに対して失礼になる」
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