エテリジア

「最強のカルキノスはサバクオニヤドカリなんじゃないの?」


「違う~! 大きさじゃ負けているが、間違いなく地上最強はケプラーモクズガニだ! 奴らには知性インテリジェンスさえ存在すると言われているんだぞ!」


 アディーが説明してくれた。地球のアフリカゾウに相当するのがサバクオニヤドカリで、百獣の王ライオンに相当するのがケプラーモクズガニだと。彼女の方が、はっきり言って教授より分かりやすい。


「ケプラー22bの最強生物が、よりによってこの奴隷解放革命の真っ只中に現れるとは……しかも3体だとぅ?! 開拓移民の、人類の混乱期を狙ってきたとしか思えん! 足元をすくってくるとは、やはり奴らには知能があるのだろうか!」


 それから、ひとしきり教授は立ったり座ったり『うあああ! あのときの子ガニが親を呼んだのか』と言ったり落ち付かなかった。


「教授がパニック状態になるのは無理もない。こんな大変な時に……」

 

 僕が頭を抱えていると、アディーは冷静だった。


「オカダさん、力になれなくてごめんなさい。私達は行かなくてはなりません」


「本当はオカダさんと一緒に戦いたいのだが、警察官としての重要な仕事が入っちゃった。優先順位は……」

 

 チトマスは正直、困惑しているようだ。なぜか通りがかったアニマロイドの左衛門の背中に、しがみついたまま離れない。ジャガーの左衛門は迷惑そうに両耳をぱたぱたとさせた。

 僕はアニマロイド達への指揮に加えて、インディペンデンス号からのデータ通信、さらに電神・秋水の航空支援攻撃と一人で、てんやわんやの状態だったが今、何だか最高のコンディション。タフガイを自負する僕の実力が怖いほどに発揮され、正に革命軍の中心にいるような気分になっている。


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