ポリクソ
スケさんに一喝され、僕は自分の使命を思い起こし集中力も回復させた。
「丸腰に近い人間に、生身の男達にそれは……それはないだろう!」
僕は電神・秋水を遠隔操作して降下させた。機体からの照準情報をナノテク・コンタクトを通じて脳内で受け取る。視界の中に精密爆撃用照準情報が展開された。
秋水のウエポン・ベイが開くとスマート爆弾が投下された。切り離された爆弾が装甲列車ドラケンに到達するのに数秒もかからなかった。
ドラケンの4両目にある指揮車の装甲天井にスマート爆弾が正確無比に突き刺さる。数センチの鋼板でできた屋根を突き破ったが、破裂はしなかった。不発? いや、わざと信管を作動させず、敵味方に逃げる隙を与えたのだ。ドラケンは衝突の凄まじい衝撃で機関停止し、電源をも失い停車。そのまま砲も動かせず、死んだように沈黙した。
ザイデルD-15部隊のアマゾネスらとB級奴隷は一斉に列車の周囲から我先に逃げてゆく。
「仕上げだ! トール・サンダー!」
インディペンデンス号の副砲、自由電子レーザーの毛髪のように細い光が精密にスマート爆弾に照射された。
一瞬、灼熱化した光を放った墓標は大爆発を引き起こし、数十トンはあろうかと思える装甲列車をオモチャのように吹き飛ばした。レールは針金のように曲がり、連結された全ての車両が脱線して横倒しになったのである。爆風と衝撃はザイデルD-15部隊の本陣にまで及び、破片は総督府の窓ガラスをことごとく破った。
「どうだ、ドラケンを一発で倒したぜ」
僕がネコミミを伏せたスケさんの肩を叩くと、隣のランドルトが興奮して言った。
「やっぱ、アンタはすげえよ! あの装甲列車を一人で破壊するなんてな!」
ザイデルD-15部隊の“釣り野伏せ”はドラケン退治により完全に崩れた。包囲殲滅戦は中途半端な結果に終わり、逃げたB級奴隷革命軍は再び凝集して各々武器を奪うと、ザイデルD-15部隊のアマゾネスを個々に打ち破り始めたのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます