ジェラルディーナ

 アディーとチトマスは警官の格好をしていたのでB級奴隷の男達に囲まれて嬲られていた。オーミモリヤマ警察署の婦警達は、さっさとこの場から撤退したというのに一体何をしているのだろう。ランドルトがスタリオン高機動車から飛び出してきた。


「おい、俺はアディーを助けに行くぞ!」


「やっと目覚めたか、男前なところを魅せるこの上ないチャンスじゃないか!」


 僕がそう言うと、ランドルトは率先して彼女らの救出に向かった。


『アディーとチトマスは仲間の発砲を体を張って妨害してくれたの。置いて行かれたのは多分そのせいよ』


 M4カービンを携えたランドルトは、シュレムからそう説明されていた。


「どけどけぇい! そこの二人はデュアン様の手先じゃねえぜ! 指一本触れるんじゃねぇ!」


 駆け付けたランドルトにより、ようやく救出された二人はボロボロになっていた。アディーはともかくチトマスは、なぜ男性陣の味方だと認識されていなかったのだろうか……。

 僕は彼女らを迎え入れ、ねぎらいの言葉をかけた。


「大丈夫かい? 命がけで僕らを助けてくれたんだね。感謝しきれないよ」

 

「もう死ぬかと思った。……平和なオーミモリヤマ市が滅茶苦茶です」


 アディーは市の治安を守れなかった自分に責任を感じ、薄汚れた顔で号泣している。おろおろするランドルトが見ていて面白いな。


「どさくさに胸を揉まれちゃったよ」

 

 チトマスは、ブラのずれを修正して、はだけたシャツを直した。あたふたするランドルトが見ていて滑稽だな。


 事態が収束するまでは、スタリオン高機動車の中で皆と一緒にいた方がよかろう。車内は、運転席にカクさん、助手席にシュレム、その後ろにマリオットちゃんにブリュッケちゃん、更にその後ろにアディーとチトマス。天井のハッチにはランドルト。屋根にはスケさんと僕。今だかつてないほどのスシ詰め状態になってしまったが。


「アディー……どうやら泣いている場合じゃないようだぜ」

 

 僕は直感した。何かが起ころうとしていることを。髪の毛が何だか逆立つ……。

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