テレジア
人垣をかき分けるように、スタリオン高機動車がホーンを鳴らしながら広場に到着した。スタリオンのフロントはゴールドマン教授のラボでオリジナルに近く修理されていたが、すでに銃弾を浴びて穴だらけになっている。操縦するのはカクさんのようで、天井のハッチにはネコミミのスケさんと……誰だあいつは、ランドルト弟なのか?!
二人はお揃いのボディーアーマー付きの戦闘服を着用している。天井から飛び降りると、銃でアマゾネスやB級奴隷の戦闘員を蹴散らしながら迎えに来てくれた。ランドルト弟は、『まだ湖賊をやっている方がマシだ』と呼吸を乱しながら文句を言う。
「生きた心地がしないぜ。何だこの戦力差は! 100対1ぐらいじゃないのか?」
「そんな訳がなかろう。ゴールドマン教授の根回しでB級奴隷の戦闘員は、ほぼこちら側と考えていい。アマゾネスの中でもデュアン総督に反対のシンパがいて協力してくれるから。実際は五分五分の戦いだ」
「本当か?! その割には本気で襲いかかってくる奴らがほとんどだぜ」
「あれほどの美人総督なら、命がけで守ろうとする輩もいるだろうよ」
僕の言葉にスケさんは羨ましそうに言った。
「私にも守ってくれるナイト様が欲しいわね」
「え~、俺が君に付いてきたのはオカダ査察官への恩返しだけじゃないんだぜ」
「何よ、ランドルトはアディー一筋じゃないって言うの? あっ! あそこにいる婦警はアディー!」
「ひえ~! アディー様、いたのですか?!」
僕に抱えられたままのシュレムとマリオットちゃんとブリュッケちゃんは困惑した。右肩上で皆にお尻を向けたままのマリオットちゃんが言った。
「あのー、切羽詰まった状況なんで、世間話は後にしてもらえないかな?」
スケさんのナイフで彼女らを拘束する腰ひもは切断された。スタリオンに三人を放り込むと、僕はスタリオンの屋根に飛び乗った。この場の総仕上げのために。
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