ベティーナ

「チトマスさん! チトマスさん! まずは落ち着いて! お願い!」

 

 僕は、やっとチトマスの乳ホールドを解いた。


「ごめんなさい、オカダさん。私、隠すつもりはなかったのだけれど……」


「女だったのか……しかも、えらい美人じゃないか」


 彼女はクロスした腕で手ブラ状態だったが、僕の頭に乗せていたタオルを奪い取ると、大事な部分を覆った。でも濡れタオルはスケスケで、逆にいやらしい姿になってしまった。


「オネエじゃなくて、本物の女性だよね? ハスキーな声で全く気付かなかったよ。それにしても一体どういうことだ?」

 

 その時どこから湧いてきたのか、数十人の男どもが老いも若きも露天風呂の様子を伺いにやってきた。


「キャー!」


 チトマスは僕の後ろに隠れてしまった。恥ずかしいのなら男湯に入ってくるなよな……素っ裸で! 無防備にもほどがある。友達の妹は小学校高学年まで銭湯の男湯に平気で入ってきていたが、昔はいい時代だったものだ。


「君達! そんなに見たいのなら、俺の自慢のお尻を今宵ご覧あそばせ……」


 僕は湯船から上がると、レーズンパンのような美しいお尻を月光の下に曝け出した。すると人垣がみるみる割れて道ができるのだった。ダビデ像のポーズだったが、もちろん前はチトマスから見えないように隠してますよ。

 一人の老人がバスタオルと女性物の水着を持って建屋から現れた。


「ゴールドマン教授……」


「ふふふ、驚いたかね? いや、ちょっと彼女に君の背中を流しに行ってくれ、と頼んだのは私なんだけどね!」 

 

 風呂から上がり浴衣に着替えた後、コーヒー牛乳を腰に手を当てて飲む。

 落ち着きを取り戻した僕は、マッサージチェアに腰掛けたゴールドマン教授と向き合った。


「さあ、どういう事なのか説明してもらおうか」

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