ステファニア
「残念! 正確にはジャガー耳よ。ほら、後ろが黒いし特徴的なブチ模様があるでしょう?」
スケさんが自慢げにネコミミ? を髪の間でプルプルと動かしていると、マリオットちゃんが、ふと疑問に思って訊いた。
「じゃあ、本来人間の耳がある場所には……」
失礼して僕がスケさんの目元サイドの黒髪を上げさせてもらうと、そこには耳たぶも穴も何もなく、つるんつるんとしていた。
「うわーっ!! やっぱり人間じゃない! これじゃあ眼鏡がかけられないよ」
「当たり前の事を言わないでよ。基本的にアニマロイドの時と同じなんだから。でも今とっても面白いわ、長生きはしてみるものね」
「スケさん、お尻と胸の谷間がこんにちは、して目のやり場にとっても困っているんだけど?」
「あら、気にしなければ別にいいじゃない。う~ん、これが人間か~。頭は重いし、爪は短いし、臭いもあまり感じられないわね。手で物が掴めるのは便利かもしれないけど」
続けてスケさんは部屋の片隅にあった鏡にそっと自分の姿を映してみた。
「へぇ~?! これが私? 生まれ変わった気分。結構イケてるんじゃない?」
傍にいたマリオットちゃんが屈んで、四つんばいのスケさんに答えた。
「外出して街を歩けば、それだけで注目を浴びそう。立って歩く練習もしなきゃね!」
「あらまあ、どうしましょう。何だか胸がドキドキしてきたわ」
熟女の元アニマロイドは、若い体を手に入れて、ピョンピョンと仔猫のように跳ね回った。ランドルト姉は入力作業の手を休め、嬉しそうにスケさんの様子を観察している。
「マッチングは完璧のようね。元のボディが治るまで、数ヶ月はそのままで楽しんで下さい」
「もうジャガーには戻れないかもしれないけど……いや、やっぱり使い慣れたアニマロイドボディの方がいいわ」
スケさんはそう言うと、ちょこんとお座りして頭を傾け、足の爪で耳の後ろを器用に掻いた。ブリュッケちゃんが彼女のパンツを隠しながら言う。
「ずっとそのままでもいいんだよ。そうだ! カクさんもイケメン男子になってみる?」
「いや、俺は遠慮しておくよ」
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