ポンペヤ
しばらくは弟ランドルトの情報を交換し合った。
双子としてほぼ同条件で生まれたのに、男というだけで一方はB級奴隷として隔離されるのだ。情が移る前に家族の下から引き離され、専門の奴隷養護施設に送られる厳しい現実がある。姉は今や立派な研究職となったようだが、全く同じ資質を持つはずの弟は、湖賊にまで落ちぶれて明日をも知れない命だ。
会社の倉庫の前まで来た時、秘密のシャッターが開いた。中に四人で入ると同時に、姉ランドルトの重い口も開いた。
「やっと大っぴらに話せますね。ここからは遠慮なく行きましょう。ざっくばらんに」
「おお? 何だ、何だ」
「残念ながらゴールドマン教授は湖西方面に出かけていて、現在留守にしております」
「ええ~! それはとても困る。仲間のアニマロイドが瀕死の状態なんだ。あらゆる手段を講じて、何とか助けて欲しい。今すぐ対策を施さないと、本当に取り返しのつかない事になってしまうよ!」
ランドルトは黙って頷くと、スケさんの症状を2、3質問してきた。
「私からもお願いします。かけがえのない仲間なんです」
マリオットちゃんが両手を胸の前で組んで、祈るように懇願した。
「ボクからもお願いします……スケさんには何度もピンチを助けてもらったんだ!」
ブリュッケちゃんの言葉に、ランドルトはニッコリと微笑んだ。『私は万能の神様じゃないんだよ』といった意味の発言をしたと思う。
「……ここは製薬会社を隠れ蓑にしたバイオニクス研究所なのです。裏で私は所長をしているのですよ。ゴールドマン教授から、あなた方に力を貸すよう伝えられておりますので、ご安心を!」
頼もしい事を言ってくれるじゃないの。
「あなたはバイオニクスの専門家なのか?」
「ええ、私はゴールドマン教授の弟子と言いますか、助手を長年務めさせてもらっています」
「そうなんですか……それでは遠慮なく」
僕はスケさんを乗せたスタリオン高機動車をフルオートでここまで呼び寄せた。
「もう一つ、預かって欲しい物があるんだ」
間髪入れずに、だだっ広い会社敷地内に全翼機(可変式の尾翼あり)の電神ヴィマナが高空よりグライダーのように着陸した。社内の目撃した人間が騒然となったのは言うまでもない、一部パニックを引き起こしちまった。
「何とか空中給油で繋いできたけど、もう燃料が空なんだよね。スタリオン高機動車のフロントの修理も頼めるかな?」
「
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