ガリア
「ちょっと待って! 私は無関係だ。北の砂漠地帯なんて、まっぴらごめん。私を色々と巻き込まないで欲しい」
パリノーは焦って必死な声で、我々に訴えた。
「ここまで助けたのならば、査察官として最後まで面倒を見ないと無責任だと思う。中途半端はいただけない。バイク用のガソリンを手に入れるか、私を南のオーミマイバラ市まで安全に送り届けるべきでしょう」
パリノーの言う事も、もっともだ。彼女はたまたま一緒になっただけで、危険な狩りに付き合わせるのは論外。廃墟のオーミナガハマ市に置いて行く訳にもいかないだろう。
スケさんが色々考えて説明した。
「ではガソリンのありそうな場所を探しましょう。市役所前のガソリンスタンドの跡地なんか有望よ、それでどうかしら。その後どうするか話し合いで決めましょう。あなたが言う通りオーミマイバラ市まで行けば、KR線の列車が通っているので、安全に各コロニー都市まで帰れるはずよ」
バイクを三人がかりでスタリオンに括り付けた後、市役所跡に向けて瓦礫の道を縫うように走らせた。
……陽が落ちていたらヤバかったね、パリノーさん。
ガソリンスタンドを目指して元オーミナガハマ市役所前まで来た時、前方に何かが積み上げられていた。ポンコツ車数台、洗濯機、机、建材などのゴミが誰かによってうず高く集められ、道路を占有していたのだ。アディーがナビゲーションをしてくれていたが、手元の携帯端末と見比べて首を傾げた。
「ちょっと迂回して行きましょうか……」
スピードを落とした時、割れたアスファルトの隙間に設置されていた手製の地雷が爆発した。
「きゃあああああああ!」
凄まじい爆音と煙とともに車体が衝撃で揺れたが、無論スタリオン高機動車はビクともしない。シュレムが後部ドアを開けて飛び出そうとしたが、すんでの所で制止した。
「今は出るんじゃない!」
スタリオンの装甲シャッターを全周閉じて防御態勢に入った。
「何なの? 何が起こったのよ~」
座席から落っこちたパリノーが僕の首に両腕を巻きつける。ぐえ、今はちょっと止めてくれよ。
外部視察モニターで周囲の状況を把握する。まだ爆発の煙や塵が舞い上がって何も見えなかった。
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