ベアトリクス
「どうする、オカダ君。連れていくのは構わないけど、姉であるシュレムの意見を尊重したいわ……」
スケさんが困ったように訊いてきた。
「俺達が守ってやろう、食料も装備もたんまりあるし」
マリオットは話し合いの流れを大まかに把握して目を輝かせている。
「よし、よし!」
両手をグーに握りしめて、姉の方をチラ見した。
「でも……」
助手席のシュレムは心配そうにしている。それは無理もないか。
「我々は地球の最新装備を利用できる。僕は植民惑星査察官にして最強のコンタクト・ドライバーなんだ」
「こんたくとどらいばぁ? 何よ、それ」
「すごく簡単に言うと、両眼のコンタクトレンズを通して無人の飛行機や船、その他宇宙船でも何でも自由自在に遠隔操作できるんだ」
「あ~、失礼! ……デュアン総督は乗ってきたシャトルを壊しさえすれば拠点を失い、我々は何もできないと勘違いしているようだが……すでに電波中継用の成層圏プラットフォームは飛ばしてあるし――」
割って入ったカクさんの言葉を受けてスケさんも続ける。
「宇宙揚陸艦インディペンデンス号の兵装は……あなたの場合、説明しなくても身をもって知ったわね。艦種は揚陸艦に分類されているけど、フリゲート級の装備を持っているわ。さらにコンテナ内の戦闘機や潜水艦も自由に地上に呼び寄せて無人コントロールできるという……ごめん、難しすぎた?」
「あのミカミ山を崩した、すごい武器もあるの?」
僕は一呼吸置いてから遠慮がちに答えるのだった。
「もちろん、トール・ハンマーは強力すぎて使えないけど、条件さえ整えばね……」
査察団のチームワークをもってすれば、二人を守りきれる自信はある。僕の本音としては、妹のマリオットちゃんを加えた姉妹と旅がしたいと思うのだが!
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