ドリス
オーミモリヤマ市全域を揺るがせた混乱とパニック状態が収まったのは、次の日になってから。昨日は、あれから終日まで、どんよりとした雨の天気となった。
キノコ雲が風に運ばれて徐々に薄く見えなくなった時、そのまま雨雲に置き換わったのだ。大気の状態が不安定になり、灰を含んだ雨を街に降らせた。
オーミモリヤマ市はトビエビ被害に加え、ミカミ山大爆発のダブルパンチを被った。確かにスケさんの言う通り、ちょっとやりすぎちゃったかもしれない。街の掃除担当である男奴隷の仕事をずいぶんと増やしてしまった。
公僕であるべき植民惑星査察官として深く反省。マコトやヒロミ達も朝からびっくりしただろうなあ……。
女病院長をも巻き込んだ看護師との一大議論の末、僕は面識のあるシュレムに連れられ、まずはオーミモリヤマ市長へ挨拶に伺う運びとなった。
市役所は地下にメイン機能を有しているらしい。定期的に大発生するトビエビの被害を最小限にするためだ。どうりで誰にも会えなかったはずである。
シュレムは仕事着であるワンピース状の白衣のままだったが、地球の常識では考えられない。いくら更衣室でシャワーを浴びて着替えてきたとはいえ、名札を外したそのままの格好で外を出歩くとは。
スッピンでも恐ろしく綺麗な顔をしているな……白い肌艶なんか黄色い恒星の陽光を浴びて輝いているほどだ。あんまりじろじろと観察していると『ちょっと、何見てんのよ!』とキレて睨まれそうな雰囲気。もっと距離を縮めて仲良くなりたいと思っているのに。男の立場が非常に弱いこの星では、攻略するにも地球の常識が多分通用しない。さて、どうしたものか。
市民病院から市役所までは大した距離でもないので、僕とシュレム、スケさんとカクさん、二人と二頭で徒歩によって移動する事となった。
街にはトビエビの死骸が散乱し、爆風で飛んできたゴミ屑が大量に落っこちている。おまけに降ってきた灰のせいで街全体が粉っぽいし、雨でぬかるんで収拾がつかなくなりそう。
……半分ぐらいは、どう考えても僕の責任。こりゃ何とかしないと日常生活がマヒしそうだな。
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