第5話 依頼者は語る

キンバリー、ジンジャー、ガラン、ゴルムは、

2カ月ほど前に組んだパーティーだ。

 

農村からでてきたばかりの弓兵キンバリー、剣士ガラン

村の魔術師から初心者の魔法だけならったジンジャー

手先が器用で足が速いゴルム


絵に書いたような、お登りさんの初心者パーティー。

しかし、それは仕方ないことだ。

 

初心者は初心者としか組んでもらえない。

誰しも稼ぎと命が大事だからだ。

 

キンバリー達のパーティーは結成以来、

2カ月に10回もの依頼を受けているのだが、どうも頭打ち感がある。

 

一向に金銭が貯まらず、装備が更新できないからだ。

 

リーダーのキンバリーは、同じく弓をつかうサラに相談したところ、

「いい知り合いがいる。」とのことで、

朝から宿屋の1階に来たのだ。



宿屋では、机に剣士風の男が座っていて、握手してきた。

「ケンジだ。冒険者(パーティー)の経営相談をしている。」

「キンバリーだ。サラの紹介できた。」


キンバリーは、中堅パーティーにいたケンジを見たことがあった。

それほど腕が立つとは言えないが、パーティー連中の装備が

いつもキッチリとしていた印象を持っていた。


「サラから話は聞いているが、あんたの口から依頼内容を聞きたい。」

とケンジが言う。

 

冒険者は、依頼という言葉に命をかけている。

それがわかって口にするケンジを、キンバリーは信じられそうだな、と感じる。

 

「これまで、10回ほど依頼を受けてきた。

 その全てに成功したはずなんだが、あまり金銭が貯まらない。

 だから装備が良くならない。

 

 個人的なことを言えば、稼いでも矢が高くて消耗が激しいんだ。

 そこそこ経験は積んだと思うんだが、

 ちっとも上にあがれる感じがしない。」


 ケンジは、微かに頷くと「まかせろ。」と言った。

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