第4話 最初のメニューはお買い物同伴

考えろ、考えろ、と自分に言い聞かせる。


現場をイメージするんだ。現実に沿った解決策を出すんだ。


数十秒、真剣に悩んだ結果・・・


「一緒に買い物したらどうだ?」


 というのが、俺の出した解決策だ。


「???」サラは戸惑っている。


「要するに、値段の相場をお互いに知らないのが疑心暗鬼の元なんだろ。


 パーティーを組んだら、何を準備するのかお互いに教える。

 必要な準備の費用もお互いに教える。かかりそうな費用も教える。


 で、一緒に鍛冶屋や魔術師ギルドや食料品店を回って、

 お金を一緒に払ったり、値切ったり質問したりする。

 打ち合わせと買い物で2時間もかからないだろ。」


「なるほど!」


「で、冒険が終わったら、もう1回一緒に回る。

 かかった費用の補充と清算をする。で、残った金額を公平にわける。」


「あったまいいーっ!!なんで、それを思いつかなかったんだろ!

 いっつも、依頼終わったら、終わった―――っ!!って酒場で打ち上げて

 なんかグダグダだったもん。」


「バカ、それは俺が全部あと処理をやってたんだよ。

 まあ、お前んとこが、この先どうなるかは知らんけど。」


「で、交渉が不安だったら最初と最後の買い物ツアーに俺が立ち会ってもいい。

 相場を知ってて交渉に強い人間がいるとボラれないし、

 目の前で清算するから、お互いに疑心暗鬼になることもない。


 お前らは、金が入ると気が大きくなって、払いが適当になってたからな。

 現状復帰費用を、しっかりと計算して、分配も公平にしてやる。」


「あんた!それを商売にすればいいじゃん!」サラは興奮して叫んだ。


 なるほど。それもありか。

 今度は、俺が頷く番だった。


 どうも、他人の解決策を考えるは得意だが、自分のことを考えるのは苦手だった。

  

 とりあえず「冒険者パーティーの買い物にと清算に付き添う」

 というのが冒険者支援の最初のメニューになりそうだ。

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