第一章 かけ出し冒険者の支援をはじめました
第2話 冒険者パーティーの経営相談をはじめました
「さて、どうすっかな。」と、拠点にしていた宿屋の1階で、冷めたパンをかじり無精髭を撫でながら独白する。
冒険者を
立ち止まっていたら、たちまち飯(おまんま)の食い上げだ。
日本にいた頃は、コンサルタントなんてものをやっていた。
転移した当初は、それで食っていこうと思ったが、地縁のない余所者がギルドでガッチリ固まった世界に食い込めるはずもなく、資本もないので諦めていたのだ。
「ねえ、そんであんたどうすんの?」とのぞき込むように声をかけてくるのは
この赤毛女は、2年前にパーティーに加わって、なにくれとなく付きまとってくる。
20才は過ぎていると思うのだが、異種族の血が混じっているらしく、年齢不詳だ。
本人に聞いても「ないしょ」と言うので放っている。
心配してくれている、というのとは、ちょっと違うと思う。
なんというか、世間ずれしてないというか、文化が違うのか。
思ったことを、そのまま言葉にする
「
「うるせえ、人の金なんか心配してられるか。」
冒険者って連中は、金銭感覚がいい加減だ。
生き方が博打なせいか、出納が適当で、相場にも
だから、よくぼったくられている。
弓兵のサラも、例にもれず金銭感覚が適当で、いつも貧乏でヒーヒーしていたので、見かねて鏃だけ、まとめ買いするよう教えたのだ。
鏃だけ買えば、矢の本体と羽は手作りできる。
どうせ、弓兵は矢に拘りがあるので矢の調整は自分でするのだ。
作ったところで、それほど手間に差が出るわけでもない。
鏃を1回の依頼で幾つ消費しているのか。
その何割が再使用可能なのか。
今の相場が幾らで、まとめ買いすると、どの程度得するのか。
そのあたりを、昔とった
そのことを感謝して、酒をおごられた。
そういう使い方がダメなところだが、言いたいことはわかる。
冒険者ってのは、駆け出し連中は貧乏人だ。
学もない。
装備を整えるのに初心者こそ
無駄遣いばかりしてい、なかなか貯まらない。
結果として、ランクが上がらない。
負のループを繰り返している。
俺が20代半ばで転移して、そこそこやれたのは、
パーティー連中も、その恩恵に預かっていた。
まあ、学のないバカばかりだから、サラを除いてあまりわかっていなかったみたいだが・・・。
貧乏人(ぼうけんしゃ)相手のコンサルはあんまり気が進まないな・・・。
が、日銭を稼ぐためには仕方ないか。
そんな成り行きで、俺は「冒険者パーティーの経営相談」を始めることにしたのだった。
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