転生って正味罰ゲームだよね?
母里三位
第1話 序章
心を満たす喜びよりも、腹を満たす食物が欲しい。――暗い洞窟の
自分が転生者だということは、おぼろげに記憶している。けれどもそれ以外のことは、あまり良く分からない。自分が元は誰であって、どこから来て、どこへ行くのか。そんな当たり前のことさえ、何も
どうせ今度も、また別の世界。時間軸も空間軸も――もし、そんなものが存在するとすれば――異なる、新天地に放り込まれたのだろう。
転生者――魂を
何も知らない最初の内は、生まれ変わりを喜んだ。不完全とはいえ、前世の知識を引き継いで、人生をやり直せるんだ。果たせなかった夢や、やり残した沢山の出来事にもう一度挑戦する、素晴らしいチャンスを得たのだと思った。
けれども、五回、十回と
石器時代からSFの様な未来都市まで、様々な世界に生まれた。裕福な家庭で大切に育てられた時もあれば、物心つく前に捨てられたこともあった。血が
でも、どれだけ過程を変えても、常に結果は同じ。救済は、一度も訪れなかった。やがて老い、死んで全てを失って、また最初からやり直し。――まるで、終わりの無い悪夢。何度転生を繰り返しても、最期は何も変わらなかった。
――いや、止そう。そんな、否定的なことばかりを考えるのは。
とにかく、程なくして僕は、自分が人であることを
今度の人生で得たのは、コソコソと闇の中を
自らが人でなくなったことに対する、
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