第2問目 ノーマルな感情とベリーハードな展開

優しい声の言う通りにムクリと起きると其処はいつもの俺の部屋だった

ただ1点違う事が有るとするならば空飛ぶ小人みたいなのが居る

幻覚か?そしてさっきのは幻聴か?まだ夢の中なのか?ぼやけた頭がグルグルする

ああタバコが吸いたいと思ってると声がした

「はいは~いやっと起きましたね~おはようございます!」

優しい声で挨拶して来たのはその空飛ぶ可愛い小人

「・・・まだ夢かなぁ?」

「夢じゃないですよ~『ゲーム』の中ですよ~」

ハッとしてヘッドギアを触ろうとするがヘッドギアは無く髪の毛が手に触れた

ゲームの中にしたって実際五感が有る!?凄い技術だ!


「驚いてますね~じゃあ行きますよこのゲームの難易度を!」

1:ノーマル

2:ベリーハード


選択肢が頭の中で出て来た

ゲームらしくなって来たな!ゲームでならした腕の本領発揮しようか!

夢に入った時も選択肢が出て来たからな~落ち着いて行こう

いきなりベリーハードでも良いんだがゲームの中でとは言え五感は有る

リアルにダメージとか受けたら痛そうだしな・・・

「1のノーマルで!」

「はい了解しました!良かったですね~」

「良かった?何が?」

「2のベリーハードを選んでたら即死だったからですよ~」

「即死!?凄い厳しい極端な設定だな!怖っ!」

「本当に死んでる所でしたからねぇ~良かったです~」

えっ?ちょっと待って?本当に死んでる?何か物凄く不穏な言葉なんですが?

「本当に死んでるって・・・ゲームオーバーで元の世界に戻るとかじゃなく・・・マジなの?」

「はい!リアルで永眠でした!」

マジかよ!?心臓がバクバク鳴り出して脂汗がたらりと流れる

「・・・あの~」

「ああ自己紹介を忘れてました!ナビゲーティングコントローラーのナコです~」

何かホッとする様な残念な様な複雑な気持ちが一杯に込み上げてくる

「いやいやその前に!このゲームについて詳しく知りたいんだけど!」

「ごもっともな質問ですね~では説明しましょう!ドンドン質問して下さいね~」

「まずは・・・ナコだっけ?君は何?」

「自己形成学習搭載型脳内ゲーム管理投影体です~だから触れませんよ~残念!」

無駄に凄い技術だな!でも何故死ぬって言い切れるんだ?ゲームなのに?

「何故脳内ゲームで死ぬの?」

「それはリアルのヘッドギアの電気負荷で脳の電気信号を完全に止めるからですね~」

「・・・いやいや冗談はよしてくれよ!そんな死のゲーム聞いた事も無いぞ!?」

「でも実在するんですね~理解して契約書にサインしたんじゃないんですか?」

「そんな契約書なんかサインする訳無いだろう!俺が書いたのはゲーム譲渡の書類だ」

「他には何か書きませんでしたか~?」

えっ?そう言えば・・・

「なんか白紙の紙に所在地確認の為にって名前と住所と印鑑はやったけど・・・」

「あ~それはやっちゃいましたね~白紙委任状ですよそれは~悪質な手口ですね~」

白紙委任状!漫画で見た事が有るぞ!?でもそれって生死レベルでは使えないはずじゃ?

「このゲームでの死因は現代科学では証明されないんですよ~それを悪用されますよ~」

「死因が特定されない!?でもヘッドギアが残るから・・・」

「住所を書かせてあるから死亡確認後ヘッドギア取って関連医師に渡して終了ですね~」

クソッ!やられたっ!こんな高度な技術が有るんだからそれ位おかしくない!

「お前もグルなのか!?俺を殺す為に!?」

キレた俺に冷静に

「私は違いますよ~仮にグルだったとしたらこんなに説明しませんよ~」

「じゃあ何なんだ!?」

「私はあくまでゲーム管理者ですよ~さっきみたいに2択の問題を100問出すだけです~」

100問だと!?2択を100問!?生死の選択を!?

「そんなの無理に決まってるじゃないか!100問クリアしないと絶対死ぬのか?」

「はい!逆を言うと100問クリアしたら生きて起き上がれます~」

そこでふと寂しそうな声で

「ただ今までクリアした人は誰1人として居ません・・・」

ふと顔を見ると泣きそうで申し訳無さそうな表情だった

其処で理解した このナビゲーティングコントローラーは殺したい訳じゃない

むしろクリアしてくれないと永遠にプレイヤーの死から解放されないんだと

そして自分で考える力が有るからこそ苦しんでいるのだと

だったら答えは1つしか無い

「俺はクリアすれば良いんだろう?そうすれば俺も死なないし君も開放される」

そう言うと泣きそうになりながら笑顔になってくれた

「本当ですか!?でも私は答えを教えられないシステムですよ?」

「正解し続ければ良いんだろ?俺も死にたくないからね・・・本当の意味での必死覚悟だ」

「そんな事言ってくれるプレイヤーさんは今まで居なかったですよ・・・」

プログラマの俺には解る 人工知能だって生きているって事を

「1/2が100回か・・・全問正解の確率はどんな数字になる?」

「はい!1/1267650600228229401496703205376です!」

「126穣か・・・上等だ」

「因みに今2問正解してますから後98問です!頑張りましょう!」

ん?2問?その瞬間ゾワッとした感覚に襲われる

「・・・まさか最初のゲームを始めますかも・・・?」

「はい!1問目の選択肢です!」

怖ぇ~!

「・・・今度から選択肢の前に一声掛けてくれ・・・頼むから」

「私では口出し出来ないですがシステム的に必ず頭の中で選択肢が出て来るのが合図です!」

「・・・ヒントは出せるのか?」

「直接的な物は無理ですが状況や状態を伝える事は出来ますよ!」

やれやれコイツはとんでもないゲームになりそうだ

「まぁこれからよろしく・・・ナコ・・・このゲーム絶対クリアしよう!」

「・・・!はい!宜しくお願いします!御影さん!」

パァッと明るい笑顔になった

女の子には笑顔でいて欲しいからね

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