グランビスト建国記 序章
常磐 誠
第1話 運命られた出会い -0-
潮風が吹く石畳の道の両脇には、お世辞にもきれいとは言えないトタンや古ぼけた看板のような物体が粗雑に組み立てられたような建造物のなり損ない達が並んでいた。そのなり損ない共を見ていくと、視線が上に向かっていく。小高い山の方にまで、粗末な出来損ないの集まりは続いていく。空は仄暗い雲に覆われていて、辺り一面には雨の匂いがたちこめていた。
視線を少し下ろしてみると、不自然なまでに真っ白な霧に覆われた空間がある。空に雲一つない時にさえも深い霧に覆われ、誰も見ることの叶わぬその先から、何か甲高い叫びとも、呻きとも取れぬ響きがあった。そして刹那。白く輝く美しい何か、が空へ駆け昇り、すぐに消えた。
その瞬間を見た者は多くなかったが、その全てが後に、口々に語ったという。
――あれは間違いなく、龍であったと。白銀に輝く、うら長き大蛇の如き龍神様であった、と。
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