一本の木と春夏秋冬
ちぇりお
1話
はぁ……いい天気だな……
あったけぇー………
横になると気持ちいいなぁ。
俺は東城(とうじょう)ハル。身長はおそらく173cm。
まあ、健全な男子高校生をやっておりまっす☆
「あー!またこんなところにいるー!」
「もう……探したんだよ?」
「おー、亜美(あみ)に椿(つばき)じゃん!どったのー?」
こいつらは俺の幼馴染で、上田(うえだ)亜美と椿原健(つばきはらたける)。幼稚園からずっと一緒にいる大切な仲間!いや、仲間ってゆうより兄弟!かな……。
「どったのー?じゃないよ!」
「な、何怒ってんだよ……?」
「怒るに決まってるでしょ!」
「まあまあ落ち着いて亜美。一回深呼吸しよ?ハルもだよ……サボるのも大概(たいがい)にしときなよ?」
「ちょっと健!ハルにあまいよ!もっと強く言わないとこのバカサボることやめないよ!」
誰がバカだ。
「俺はいーの!生徒会長という名の特権があるから何してもだいたいは大丈夫なんですぅー!てゆうかお前らこそいいわけ?もう授業始まる時間だろ」
「いいわけないじゃない!明日からテストなんだよ!?…勉強しなきゃ」
「亜美!もう時間がやばいよ!ハルはどうする?」
勉強かー……んー……俺勉強しなくてもできるからなー。俺頭と顔はいいから♪
「んーにゃ、俺はいいや」
「まったくもう……風邪ひかないでよ?」
「おー、サンキューな」
______バタン。
「ふぅ……」
やっぱあいつらといると楽しいな。
一緒にいるとすげー落ち着く。安心する……。
はぁ……にしても本当にいい天気だなー
「今日も平和だな……」
そう呟いた時、突然強風が吹いた。
「わっぷ……!」
な、なんだ!?
咄嗟(とっさ)につぶった目を開く。
……え?
……は!?な、なんで!?
ちょ……え!?
「お、おおおお落ち着け俺!考えるんだ俺!!」
えっと、俺は学校にいた!間違いなく!
なのになんで!?ちょ、なんでしか言えない!っていうか思い浮かばない!!
だって……だって!!ここどこだよおおおおおお!!!
なんで!?どうして!?もう一回言うよ!?俺学校の屋上にいたんだよ!?
なのに何ここ!お、丘?わー見事に何もない。
「あのー……」
「うぇい!?……へ?」
だ、誰……?いきなり後ろから声かけられるのめっちゃ怖いんだけど。あら、随分綺麗な顔立ちですこと。男……だよな?
てか、俺以外に人いたんだ……。よかった……。
「……」
「……」
「……」
「……え?」
えっと……どうしたらいいんだ俺は。
つーか何で喋らないのこの人!すごく気まずいんだけど。
「……来て」
「は?あ、ちょ……」
綺麗なボーイは踵を返して行ってしまった。
えー何ー!俺本当にどーしたらいいのー!
とりあえず着いて行けばいいのかな?
来いって言ってたからいいんだよな。よし行こう。
と思ったけどそっこう見失った。歩くの速っ。もー……どこここー!
あれか!とりあえず進めばなんとかなる感じか。うっし行こう。
………………。
……………。
…………。
うん。いやもうさ、分かってたよね。
「ビューティフルボーイどこだよおおおおおおお!!」
ぜんっぜん見つかんないじゃん!
一体どこ行ったんだ……?
「ねえ。」
「うわっ!びっくりした……。あ、さっきのボーイ!」
「……ボーイ?」
おっといかん。ボーイは心の中だけにしよう。
「あ、いや気にしないで。えっと……ごめんな遅くて。途中で見失っちゃってさ」
「……うん。……僕もごめん。歩くの速すぎたね。こっちだよ……着いて来て。」
クスッと笑ったボーイは俺が進んでいた反対の方向へ歩き始めた。
……あれだな。学んだな。
迷ったらその場から動かないことを。いやー申し訳ない。
「……もう少しで着くよ。」
「おー……」
てゆうか今更だけど、どこに向かってるんだ?
ボーイの家か?いやでも、適当に歩いてる時家らしき物なんか何一つなかったぞ。
じゃあなんだ?誰かと待ち合わせてるのか?迷いなく進んで行ってるからここに慣れてるみたいだし。
だめだ……全くわからない。まずこのボーイは誰なんだ?
「……着いたよ」
「え……わっ!なんだこれ!でかっ!」
着いたと言われ俯いていた顔を上げると巨大な木がそこに立っていた。
すげー……立派な木だな。いったい樹齢いくつなんだ。
「お!イケメンがいる!」
「あ、本当だ」
な……なんだ!?
木の向こう側から人が出てきた!
しかも二人共イケメンだ……。
「……疲れた」
「あっ、いや、本当にごめん……」
「ふっ……大丈夫」
ほっ……よかった。
さっきも思ったけど笑った顔も綺麗だな。
「……笑った」
「初めて見たね……」
「え?」
「……。」
「「「………。」」」
こんなふざけた感じだけど……
俺たちはこうして出会ったんだ。
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