第11話

「さて」と生徒会長は話を変える。「さっきも少し触れたけど、戌井君は真剣にやっていない。だから、いつまでたっても情報が手に入らないんだよ」


「でも、相手は何を聞いても知らないって」


「そりゃあ、そうでしょ。そう簡単に口を割るような連中だったら、とっくに【白花の誉】は潰れている」


 そこで、と大斗乃結実生徒会長は続ける。


「仕方ないから、手を貸してあげる。君に任せきりだといつまで経っても岩浦五十海に辿り着けないと思ってね」


「何をするんですか」


「君がさっき交戦した男、丘野だっけ。あれを拷問にかける。あ、人権とか人道とかそういう話は持ち出さないでね。面倒臭いことになるから」


 こんこん、と不意に委員長室の扉が叩かれる。


「終わったみたいだ。意外と早かったね」


 そして、入ってきたのは眼鏡少女。風紀委員なのだろう。


「吐きました」と少女は言う。「どうやら岩浦五十海は学園の外に逃げたようです」


「はあ」と生徒会長は嘆息。「戌井君がぐずぐずしてたから」


「え、俺の所為?」


「それで、学園外のどこ?」


「聖堂です」


「ああ、なんちゃら記念聖堂ってやつ?」


「はい。ザビエル記念聖堂です。今は利用者もおらず、ほぼ廃墟ですが、どうやら【白花の誉】の隠れ家になっていたみたいです」


「仕方ないから、学園外での戦闘を認めることにしようか。というわけで、行ってきて戌井君、あと天之原さんもね。戌井君が学園の外に出て、そのまま逃げられてもいけないし。監視よろしく」


 別に逃げる気なんてないんだけどな。


 とにかく、五十海の居場所がわかった。ということは、つまり、あとは奴を倒すだけ。

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