蒼の魔王と紅の少女

結城 瞳

プロローグ

 昔々あるところに、世の中の悪いものを集め、世界に混乱をもたらそうとしていたくれないの髪を持つ者たちがおりました。彼らは生まれながらに不思議な力を持っており、それを使って人々を惑わしました。ある者は正気を失い狂い、ある者は謎の病で倒れ、ある者は愛しい人を手にかけました。

 人々は彼らを恐れました。そして、このまま彼らの好きにさせてはいけない、そう思い武器を手に取りました。

 戦いは激しいものでした。しかし、人々は諦めませんでした。戦うことを放棄しては、自由を勝ち取ることができないからです。そうして、人々は彼らに勝利したのです。

 紅がいなくなった世界は、光に満ち溢れていました。

 めでたし、めでたし。



「ねぇ、カイア、見て見て、この挿絵すごいねぇ、紅さんに角が生えてるよ。昔の紅さんは角が生えてたのかなぁ?」

「どうでしょうか…俺には何とも言い難いですね。何せ、見たことがありませんから。しかしこの挿絵は血の描写が過激ですね…幼子も読むでしょうに、如何なものなのか。抗議の文書を送っておきましょう」

「カイア、絵本なんだし、あんまり考えすぎると禿げちゃうよ?」

「…」

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