31.
「あの、一ついいですか。あの時のこと」
「だからあの時のことはお互いに触れないようにってさっき言っただろ」
「別に変な質問じゃないんです。ちょっと気になってることがあって…………」
「なんだ、言うてみ?」
「…………なんであの電車に白崎さんが乗ってたんですか?」
そう、これは本当に純粋な疑問
白崎さんが助けてくれる以前の問題
そもそもなんであの場に白崎さんがいたのか
白崎さんの高校名は知らないけど県で一番頭のいい津軽高校、あかりさんが通う緑三島高校じゃないということは分かっている
けど私の家から学校に行くまでの高校で桜の校章なのはその2校だけ
つまり白崎さんの通っている学校は私の家と学校の間ではないのだ
「あかりさんに聞いたんですけど学校、緑三島高校でも津軽高校でもないらしいし」
「ちょっと待て、あかりなに話してんだよ。なに人の高校割り出そうとしてんだ」
「へへ、ごめんなさい。白崎さん探す時に桜の校章を頼りにしてたんでその二つじゃないことは分かりました」
「…………ったく、隙もありやしないな。でも俺があの電車に乗ってた理由なんて単純だぞ」
「もしかしてあの二つじゃなくて他の高校だったとか!?そもそも桜の校章っていう時点で間違えてました!?」
「いや、桜の校章ってことは合ってる。ただそもそも前提が間違ってただけだ」
「そもそもの前提ですか?」
「あぁ…………教えないけどな」
「えーー、なんでですか!?せっかくだから教えて下さいよ」
言えない、ただ寝過ごしたら降りられなくなっていたなんて…………
気づいたらいつも降りる駅を過ぎてて次で降りようと思った
そしたら今度は大量の人が入ってきて降りるにも降りられなくなった
つまり俺はただの降り忘れであの電車に乗っていた
そんなカッコ悪いこと平然と言えるかっての
「それだけはダメだ。これだけは譲れない」
「別にいいじゃないですか。特にあれとは関係ないですし」
「あら、いつの間にそんなに仲良くなってるわけ?別にいいじゃない、直人も言ってあげなさいよ」
「やだよ!おまえは知ってるだろうが理由!!あんなこと言えるかよ!!」
「えっ、あかりさん知ってるんですか!?私にも教えてください」
「えっとねぇ……」
「言うなっつてんだろうが!!」
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