* 壁のシミを見ていた

その人はいつも駅のホームに立っていた


いくつも電車が通過しても

何分何時間経っても

じっと壁のシミを見つめていた


最初は何か具合が悪いのだろうかとおもっていたが

毎日そこに立ち続けているのでそうではなかったらしい


毎日毎日朝から晩まで

変わりばえのしないシミを見ておもしろいのだろうか

それともなにかに期待しているのだろうか


そして

今日も終電を見送った




その人がわたしだったということは

ずっと後になってわかったこと

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