WORLD5 ~侵略者は太平洋のド真ん中に魔導都市を創った~

城野ノ之ののか

プロローグ

第1話 運命:否定;宣告

―死ぬ。

 俺の五感と、数刻前に宿ったかもしれない第六感、補助装置、その全てが俺自身にそう告げている。


 首元に突き付けられた真っ赤な炎。


 防寒に巻いていたマフラーは、その炎に触れた部分だけが焦げ臭さを残して跡形も無く消失する。

 尋常でない熱量を持つのだろうそれは、視界に表示された温度測定機能によれば


       <<計測不能>>


しかし、鮮やかな紅緋色で指先から肘までをぴったりと覆うように形を保たれ、

一切の音を立てることなく恒星のように煌々と輝いている。


  言うなれば

  それもそのはず、今俺がいるこの場所はのだ。

  これが魔法――


 目の前の少女が右手でつくった、その火炎を纏った手刀をあとほんの数センチこちらにずらされたら俺は命を散らすだろう。

 そして思考回路はこれまたこの世のものとは思えないほど加速、一瞬で状況を整理し、ついに最善と思われる解決策をはじき出す。

 幼馴染の趣味が、こんなところで役立つとは…。

 俺は赤髪の火炎少女の目を真っすぐ見つめて言った。


「可愛らしいそでですn」

「死になさい」


 嗚呼ああ、終わった!異世界に行きたかったはずがあの世行きとは!!

いよいよ俺の思考速度は光速を凌駕し、走馬灯というのだろうか、

事の発端となる過去に遡り、幻想を映し始めるのだった。

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