不々落々

 お正月に、おじいちゃんのうちに行きました。おばあちゃんはもうお墓なので、そこへお参りにも行きました。

 そうしたらお寺の門の上の方に、提灯がぶら下げてありました。

 風もないのにばたばた揺れて、お腹の辺りに大きくひらいた破れ目を、口みたいにぱかぱかさせていました。

 お父さんもお母さんも「そんなものはないよ」と首を傾げます。だけどおじいちゃんだけは、少し困ったような顔をしていました。


 お参りが終わって帰る時も、提灯はまだ門の上にありました。

 ぱかぱか、ぱかぱか、開いたり閉じたりする口は、「また来いよ」と言っているみたいでした。

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