土の歌

 近所の空き地がコインパーキングになった。

 今まで緑が繁茂はんもしていたその場所は、コンクリで固められすっかり殺風景になってしまった。

 とはいえは手入れもされず雑草が茂り放題だったというのが正確なところで、最近は誰も立ち入らなかったような場所である。仕方がないと言えば仕方のない事なのだろう。


 それでも私にとっては子供時分、仲間たちと遊んだ場所だ。

 ラジオ体操もここでしたし、早起きしてここの壁で羽化する蝉を見に来たりもした。

 感傷めいた気分で出来立ての駐車場を見ていたら、ふと思い出心が差した。なんとなくで歩み入る。

 すると足元から一斉に、蝉の鳴く声がした。


 数秒か。それとも十数秒か。

 土の下からの歌声は長くは続かずに絶えた。

 ひどく物悲しい気持ちになって、私はしばらく黙祷もくとうをした。

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