枝道
帰省の折に通るトンネルがある。
短くこそないが、さして長くもないトンネルなのだが、稀にそこで枝道を見る事がある。本来壁のあるべきの場所に、どこへ続くともしれない道がぽっかり口を開けているのだ。
その枝道にもオレンジのトンネルライトは灯っていて、その光は招くように道の先まで続いている。
先日、一台の先行車がそちらにハンドルを切るのを見た。その後事故の話も何もでないから、あの道がどこかに通じている事だけは確かだろう。
では、あの車はどこへ辿り着いたのだろう。
気づけばその事ばかりを考えている。
きっと自分も間もなく、あの道の誘惑に負けるのだろう。
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