返される
雨の日、コンビニで買い物を終えて出ようとしたら傘がなかった。
盗られたのだ。
必要な時に必要なものを
たかが数百円、などと口にする輩もいるが、そう言うならば人のものに手を出さず、そのたかがを支払って手に入れればよいのである。
呪ってやる。三日以内に返さなければ誰であろうと絶対に祟ってやるぞと心を決めて、家まで小走りに濡れて帰った。
翌日、家のドアに俺の傘が立てかけられていた。
空は綺麗に晴れている。
だが傘は濡れそぼって、その下に小さな水溜りを作っていた。まるでついさっきまで、誰かにかかる雨を防いでいたかのようだった。
柄に添えられた短冊には、「ごめんなさい」と達筆な墨で記されていた。
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