雪の音
交通機関に悪影響を与え、道は滑りやすくなる。翌朝になれば凍って更に弊害を招いているかもしれない。
そんな厄介な代物であるのに、どうして雪は人を高揚させるのだろう。
舞い落ちる雪の中を、そんな事を考えながら歩く。
水分の少ない軽い雪が、傘の天蓋をさらさらと撫でて落ちる。その微かな音を楽しみながら、私は家路を辿る。この分だと、きっと積もるだろう。
上機嫌で帰りついて傘をたたんで、そこで私は小さな悲鳴でその傘を取り落とした。
一体どうしてそんな事になったのか。
開いたままの傘の先端、石突の分部に大きな蜘蛛が串刺しになっていた。弱弱しくもがく八本の足がナイロンを掻く。
蜘蛛の繊毛と傘布が擦れて、さらさらと音色を奏でた。
さっきまで耳に心地よかったはずの、雪の
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