貝の囀り
気のおけない友人達と海に行った。
ひとりが車を出してくれて、日帰りの小旅行だった。
一日楽しく遊んで、夕暮れ。もう帰ろうかという頃合に波打ち際を歩いていると、貝を見つけた。
綺麗な巻き貝だったので、なんとなくで拾い上げる。
海の音を聞こうなんて気取ったわけではないけれど、やはり何気なく耳に当てた。
すると、
「死んでしまえ」
低い声で、はっきりそう囁かれた。
思わず取り落としたその貝は、すぐに波がさらっていった。
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