順番
祖父の体からは、いつも白々と煙が立ち昇っていた。
勿論本当に燃えてなどいない。熱も匂いもない。
確かめてはいないが、それはきっと僕にしか見えていない。
それでも。
僕たち孫を迎えて微笑む祖父の体からは、いつも白々と煙が立ち昇っていた。
優しい祖父だったが、子供心にはひどくそれが恐ろしくて、僕は祖父母の家に行くのが嫌いだった。
祖父が逝去すると、父の体から煙が立ち昇るようになった。
当然本当に燃えてなどいない。熱も匂いもない。
これも確かめはしなかったけれど、ひょっとしたら祖父の煙は、父にも見えていたのかもしれない。
僕と父はしんみりと晩酌をするようになった。かつて、祖父と父とがそうしていたように、
先日、その父が死んだ。
気づけば煙は、白々と僕の体から立ち昇っていた。
来年小学生になる妹の子が、僕を見て火がついたように泣き出した。
多分、あの子にも見えているのだろう。
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